散歩の六百二十八話 荷物を運んできた人は?

 無事に炊き出しが終わり、僕たちはジルたちと別れて屋敷に帰ります。

 アヤに御者をして貰い屋敷に着くと、屋敷の玄関に一台の馬車が停まっていました。

 見た感じ商会の馬車っぽいから、頼んだ荷物が届いたのかな?

 そして、僕たちが馬車から降りたタイミングで相手方の馬車からも四人の女性が降りました。


「「「「あっ」」」」

「「「あー! 冒険者のお姉ちゃんだ!」」」

「うん?」


 ヴィヴィだけは何が何だか分からないみたいだけど、他のメンバーは女性四人組に見覚えがあります。

 相手も、直ぐに僕たちの事に気がついて話しかけてきました。


「おお、シュンにスーか。ちびっ子達も元気そうだな」

「「「元気だよー!」」」


 そうです、東の辺境伯領で一緒に花見祭りや悪魔退治をした冒険者三人と商店街組合長の娘さんです。

 なぜここにいるかは、この人に聞いてみましょう。

 何となく想像がついているけどね。


「えっと、サマンサさん、もしかして王都にある商会に来ているんですか?」

「ええ、そうよ。みんな年末年始には王都に行くって聞いていたから、ついでにうちの商会の手伝いをして貰っていたのよ。商会にとっても稼ぎ時だからね」


 確かに、王都は人口も多いし貴族も多いから、商会は忙しい半面稼ぎ時ですね。

 他の三人も、冒険者をやりつつ実家がお店だから店員はお手の物でしょう。

 そんなサマンサさんが、スーの事を不思議そうに見ていた。


「スーは、何だかお姫様みたいな服装をしているね。とっても似合っているわよ」

「そうですか? ありがとうございます」

「「「「スーお姉ちゃんは、王女様だよ!」」」」

「「「「はっ?」」」」


 あっ、またこのパターンだ。

 シロ達がスーの事を話したので、四人が思わず固まってしまった。

 しかも、この状況に拍車をかける存在が追加されました。


「すみません、この荷物も運びますか?」

「えーっと、どうします……」

「「「あー、マヤお姉ちゃんと、セラお姉ちゃんだ!」」」


 まさかこの場に、僕たちが新人冒険者教育をしたマヤさんとセラさんまでいるとは思わなかった。

 これは、纏めて話をした方がいいですね。


「スーはワイアットと共に購入手続きで、僕たちは一緒に馬車から荷物を運ぼう」

「「「「おー!」」」」


 まずは、目の前にある荷物を一気に運んじゃいましょう。

 その間に、アヤとアイに応接室の準備をして貰います。

 みんなで、懐かしい話もしてみたいですね。

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