散歩の五百四十八話 新たな料理を作ります
準備を整えたところで、僕はシロ達と一緒に厨房に向かいます。
厨房には、料理人が既にスタンバイしていました。
「すみません、突然お邪魔して」
「いやいや、こちらこそかの有名な雷撃の料理人の料理を見られるので、とても興味を持っております」
料理長が、とても良い笑顔で僕たちを迎え入れてくれました。
ともあれ、さっそく料理を始めます。
「じゃあ、さっそく始めるか。シロは僕とアオと一緒に野菜を切って、フラン、ホルン、ヴィヴィは、じゃがいもと大根をおろし器でおろして貰おうかな?」
「「「「やるぞー!」」」」
役割は事前に決まっているので、さっそく料理を始めます。
料理人も、僕たちの事を手伝ってくれます。
僕は、じゃがいもと大根の皮を剥いて適当な大きさに切ったら、まだかなと待っていたフラン、ホルン、ヴィヴィに渡しました。
そして、フラン達は事前に渡しておいた秘密兵器で野菜を挟みました。
「「「じゃーん」」」
ガシッ、ジョリジョリ。
前世の時に、たまたま百円ショップで見かけた安全に野菜をおろすのをアオと一緒に簡単に作ってみました。
野菜を挟み込んでおろすだけなので、指を怪我しなくてすみます。
「しゅ、シュン様、これは凄い物です!」
「これなら上手く力も伝わりますし、自然薯の様なヌルヌルするものでも安全です。さっき作ったばかりなので、料理長ならもっと良い形に改良できますよ」
さっそく、料理長が安全におろし器を使えるのに食いついてきました。
木で作った簡易版なので、キチンとした物にしてもらいましょう。
「シュン様、大根をおろすのは分かりますが、何故じゃがいもをおろすのですか?」
「じゃがいもをおろした物を使って、でんぷん粉を取り出すんです。とろみをつけて、食感を変えます。因みに、でんぷん粉に砂糖と塩を混ぜて病人用の嚥下食にする事もできますよ」
「なんと、じゃがいもをこの様に使うとは。雷撃の料理人は、我々とは考える事が違います」
とろみを使った料理がこの世界には殆どないので、新しい食感になると思うよ。
そもそも製法も難しくないし、別に広まっても問題ない調理方法です。
「「「もみもみもみ」」」
フラン達はおろしたじゃがいもをふきんで包んで、水を張ったボウルの中でもみもみしていました。
こちらは暫くかかるので、このままもみもみして貰いましょう。
僕は、切り分けた野菜に卵と冷水で溶いた小麦粉をまぶして油で揚げていきます。
簡単な、天ぷらもどきです。
ジュー、ジュー。
良い感じに揚がったところで、軽く塩をふりかけて料理人に試食して貰います。
出来上がりはどうでしょうか?
「これは凄い、サクサクした食感です!」
「十分に高級料理として提供できます!」
良かった、何とか上手くいったみたいです。
元々の野菜の旨味が強いから、軽く手を加えるだけで美味しいんだよね。
「魚とかエビでやってもおいしいので、試しても良いかと思います」
「確かに、色々な食材を使う事ができますな。ちょうど、湖で獲れた魚とエビがありますぞ」
コツさえ掴めば、料理のプロの方が料理は上手です。
料理長は、さっそく天ぷらにチャレンジしていきました。
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