散歩の四百九十一話 押収物の数々
部屋の中には恐らく押収物の分析担当の職員が多数いて、忙しそうに仕事をしていました。
その中の一人が、僕たちに近づいてきました。
「皆様、お待ちしておりました。奥へどうぞ」
白衣を着た女性が、僕達を奥のスペースに案内していきます。
そして、大きなテーブルの前につきました。
「それでは、押収した物をこのテーブルの上に出して頂けますか」
「あっ、はい。じゃあ、先に僕が出しますね。全て書類です」
「ありがとうございます。分類はこちらで行ないますので」
シュイーン、どさ。
僕がアイテムボックスに入れていた書類をテーブルの上に出すと、直ぐに複数の職員が書類を整理していきます。
シュパパパパパ。
「「「「おおー!」」」」
職員があっという間に書類を整理していく様子を、シロ達が驚きながら見ていきます。
しかも、ある程度分類しながら整理していくので、僕だけでなく偉い方々もビックリしています。
上司であるガンドフさんは、ドヤァって顔をしています。
「ふむふむ、命令書も数多くあります。これから、誰から命令が下っているのか分析を行ないます」
「頼んだぞ」
早速職員が書類を持って内容の確認を始めました。
さてさて、次はアオが押収したものですね。
シュイーン、どさどさ。
「こ、これは!」
「例の爆発型魔導具だ。更に、通信用魔導具まであるぞ」
「これだけの量があるとは。魔法使いが魔法を乱射してまで入れさせない訳だ」
アオがアイテムボックスから取り出したのは、大量の魔導具だった。
そのどれもが、お偉い方を震撼させるものばかりだった。
「アオがね、爆発しない様に分解してからアイテムボックスに入れたって」
「うむ、正しい選択だ。この魔石の数がそうだな」
シロがアオの通訳をしていたけど、アオだってこの魔導具の種類と数にはビックリしただろうな。
当のアオは、ガンドフさんに褒められてドヤァってしているけどね。
「いやはや、これは凄い事になっているな。どう見ても普通じゃないぞ」
「テロの準備をしていたと言われても仕方ないですな。後は、命令関係の解析待ちですな」
軍務大臣とへーベル枢機卿が渋い顔で話をしているけど、大規模テロの準備をしていた事は間違いない。
誰もが溜息をつきたくなる状況だ。
「奴らが何処を狙ったかによるが、この状況だと間違いなく教会とも話をしないとならないだろう」
「心得ております。私どもも、この状況を見逃す訳にはなりません」
「騎士団も、巡回を強化しましょう。奴らが新たな動きをする可能性があります」
偉い人たちがあーだこーだ話をしているが、色々な事を検討しないとならない。
それだけ、今回の押収物はかなりのインパクトがあった。
そんな偉い人たちが、僕達の方に向き直った。
「シュン達は、単独ならとんでもない戦力を誇る。有事の際は、その力を借りる事になるぞ」
「治療に関しても同様だ。あれだけの怪我人をあっという間に治療をしたのだ」
「取り急ぎは、今までと同じだ。冒険者としての機動力の良さを活かして貰いたい」
「「「「がんばるぞー!」」」」
偉い人たちの話を聞いて、シロ達だけでなくアオも元気よく手を上げていた。
しかし、闇組織も本格的にテロ行為に出て来たのか。
僕も充分注意しないとならないな。
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