散歩の四百五話 侯爵領を出発です
コンコン。
「失礼します。お館様、奴らのアジトを突き止めたのですが、アジトに残っていた全ての者が街道まで逃げおおせ、軍の兵と戦闘になりました」
執事さんが落ち着きながらも、ビックリする情報を伝えてきた。
でも、侯爵様はとても落ち着いていて、この後の展開を読んでいた。
「して、どうなった?」
「全ての者が、スライムと小さな子ども三人によってあっという間に倒されました。けが人はおりません。既に護送も行っております」
うん、この展開になるだろうと思ったよ。
アオとシロ達は、兵よりも先に飛び出すのは必須だ。
アオがいるから余計な事はしないだろうけど、闇組織もアホな事をしたよなあ。
「元々僕達の襲撃に失敗したら、軍の護送用の馬車を狙うつもりだったのかもしれません。捕まって尋問されても喋れない様に、何かの手段で喉を潰していましたし。単純に、僕達の力を見誤ってはいましたが」
「いやいや、あの連中は中々の手練れだと報告が来ている。単純にそなた等が強いだけだ」
あれ?
侯爵様がちょっと呆れた顔で僕とスーの事を見ていたけど、あの黒尽くめの連中はそこまで強かったかな?
うーん、エミリア様との訓練でいつもボコボコにされていたから、僕はまだまだだと思っていたぞ。
「シュンさん、お忘れかと思いますがエミリア様はこの国でも五指に入る強者ですよ」
あっ、そうか。
エミリア様は、とんでもない超人だったもんなあ。
そんなエミリア様に鍛えられて、僕達も強くなっていたのか。
だとしても、もうエミリア様との訓練はやりたくないなあ。
侯爵様との話はこれで終わりで、捕まえた闇組織の連中を尋問して結果を王城に教えてくれるそうです。
「「「遅いよー!」」」
「ごめんごめん、こっちも襲撃があったんだよ」
馬車の所に戻ると、待ちくたびれていたシロ達が抗議をしてきました。
「シロ、襲撃犯に何かされなかったか?」
「なんにもされなかったよ」
「とっても弱かった」
「暇だったよ」
どうやら襲撃犯は、何もする間もなくアオやシロ達に倒されてしまった様だ。
他の兵も怪我はなく、直ぐに出発できそうですね。
ガラガラガラ。
「はあ、襲撃はもうゴリゴリだよ。何もなければ良いんだけどな」
「闇組織の事ですから、まだ気を抜く訳には行きませんよ。何をしてくるか全く分からない人達ですから」
馬車の御者席でスーと話をするけど、奴らは目的を果たす為には他人への迷惑なんてどうでも良いからな。
既に王都まで半分以上進んだ訳だし、無事に着いて欲しいよ。
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