散歩の三百九十九話 ちょっと面倒くさい事に
王都への旅路も三日目ですが、今日も早朝から早足で進んで行きます。
流石に軍の馬も怪我とかが目立ってきたので、休憩の度に回復魔法をかけています。
「夕方になったら、体を綺麗にする魔法もして欲しいって」
「馬に生活魔法は贅沢だが、我々にもかけてくれるなら許可しよう」
治療の際にシロが軍馬の通訳をしていたけど、ちゃっかりとトーリー様も乗ってきた。
まあうちのメンバーは生活魔法が使えるメンバーが多いし、そのくらいでやる気になるのなら問題はありません。
「「「ヒヒーン!」」」
「おお、皆やる気になったよ!」
「汗臭いのは嫌だって言っているよ」
今度はフランとホルンが軍馬の通訳をしていたけど、確かに汗臭いのは僕も嫌だなあ。
という事で、今日の野営地についたら、皆を綺麗にしちゃいます。
ついでだから、護送対象も綺麗にしちゃおう。
皆もやる気になったのは良い事なんだけど、今度通過するのは貴族主義の領地。
やっぱりというか、領都に着いて補給しようとしたら面倒くさい事を言ってきた。
「領主様が面会したいと申しております。拒絶される場合は、領地内の通可を許さないと申しております」
うん、守備兵も大変だと思うけど、真顔でそんな事を言われるとこちらとしても頭に来るものがあるよ。
「あの、糞坊主が。いちいち癪に障る事をしてきやがる」
おお、あの礼儀正しいトーリー様がガチギレしているよ。
それほど面倒くさい相手なんだね。
「シュンさん、大丈夫です。手はありますので」
スーが何やら対策をしているそうなので、皆が補給している間に僕とスーとトーリー様でその貴族家の屋敷に向かいました。
ここは子爵家の領都で、そこそこ品物が揃っているそうです。
でも、買い物は程々にしないと。
「領主様をお呼び致しますので、どうぞお待ちくださいませ」
屋敷について応接室に通されると、普通に応対された。
念の為に出されているお茶や菓子を鑑定したけど、不審なものは入っていません。
「さて、この後どうするかですね」
「奴は捻くれ者だから、一筋縄ではいかないだろう」
「私も同感です」
トーリー様とスーの感想は最悪だったけど、その理由が直ぐに分かりました。
十分。
二十分。
三十分。
四十分。
五十分。
うん、トーリー様とスーの言った事が良く分かったよ。
探索魔法を使うと、僕達を放置して応接室の扉の向こうでこちらを伺っている奴がいるぞ。
ここは一発釘を刺すか。
「スー、時間がないしこの屋敷を魔法でぶっ壊して出ていくのはどうかな?」
「シュンさんなら屋敷をあっという間に全壊できますが、少し落ち着いて下さい」
「そうだな、少し落ち着け。雷撃の料理人を怒らせたら、一体どうなるかは私も見当がつかない。なにせシュンは、冒険者の称号を三つも持っているからな」
スーとトーリー様も乗ってくれてわざと不穏な事を話したら、急に扉の外がざわざわとしたぞ。
魔力循環の修行も兼ねて両手に光り輝く魔力を溜め始めたら、急に扉が開いた。
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