散歩の三百九十八話 こたつの魔力にとらわれてしまった
二日目も、早朝から中々の早足で進んで行きます。
勿論、キチンと馬の休憩や手入れもしていきます。
「うーんと、こうしてあーして」
「えっと、計算出来た!」
「ホルンも出来たよ」
今日もシロ達は、こたつに入って勉強中です。
今日の子ども達の先生はアオで、中々教え方が上手らしいです。
「王都までに行く間に、勉強も捗って欲しいですね」
「大丈夫ですよ。フランもホルンも、良く勉強していますよ」
今日は、僕とスーが交代交代で御者をしています。
西の辺境伯領は既に抜けていて周囲が森に囲まれているので、暫くは動物や魔物に警戒をしないといけません。
ガサガサ、ガサガサ。
「「「グルルル!」」」
「オオカミの群れだ!」
「挟み撃ちにあっている……」
「「「とー!」」」
バキンボカンボキン!
たまに動物とかが隊列を襲ってくるけど、勉強ばっかりで体を動かしたいシロ達とアオが馬車から飛び出してあっという間に駆逐していきます。
一種の安全装置みたいなんだけど、たまには軍も活躍させてあげてくださいな。
倒した獲物は、アオが血抜きをして僕達の物になっています。
「「「くー、くー」」」
昼食後は勉強もないので、シロ達はこたつでお昼寝タイムです。
シロはともかくとして、フランとホルンも早くもこたつの魅力に取り憑かれたみたいです。
うーん、ほんわかのんびりしていて、全く馬車旅って感じじゃないぞ。
「こたつが気持ちいい物だというのは、私も良くわかりますよ。家に帰ったら、是非とも私の部屋に作りたいです」
僕の横で男爵家令嬢が嬉々としてこたつの良さを語っていたけど、僕はとんでもない物をこの世界に生み出してしまったかもしれない。
ちょっと後悔をしつつ、今日の野営地に到着です。
「綺麗に体を拭いてから、お水とご飯をあげましょうね」
「「「はーい」」」
「「ブルル」」
今日もスーの指導を受けながら、シロ達が馬の世話をしています。
生活魔法で体をピカピカにして回復魔法までかけられているので、時折軍の馬が羨ましそうに僕達の馬を見ていました。
うん、僕達は下手に軍の馬をみてやれないんだよ。
怪我した時に治療はするから、それで勘弁して下さい。
「次の領地は、少し警戒が必要だ。何せ、貴族主義を掲げる貴族の領地だからな」
焼き肉を食べながら、トーリーさんが話をしてくれました。
本当に物資を補給するだけで、出来る限りスルーしたい所だな。
スーやシロ達にも、明日は注意する様に伝えました。
「すー、すー」
そして、今日はフランが僕の寝袋に入って寝ています。
相当速いペースで進んでいるのだけど、足止めを喰らわないように気をつけないと。
僕はフランの寝顔を見ながら、そんな事を考えていました。
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