散歩の三百九十四話 馬車を操る訓練です

 王都の出発を明日に控えて、僕達は相変わらず馬車を乗りこなす為の訓練をしていました。

 最初にアオとスーが御者をして、今は僕が御者をしています。


 パカパカパカ。


「次はシロがお馬さんを歩かせるよ!」

「じゃあ、休憩しながら馬を休ませたら交代ね」

「「「はーい」」」


 今は郊外を進んでいるけど、シロ達も御者をやりたがっています。

 馬と仲良くなったのか、積極的にお世話もしています。


「マロン、気持ちいい?」

「アレちゃんも気持ちいいって」


 二人が馬の体を拭いているけど、いつの間にか馬の名前が決まっていました。

 栗毛の馬はまんまマロンという名で、鹿毛の馬はアレイオーンという伝説の馬の名前を取りました。

 アレイオーンは長いので、皆はアレとかアレイって呼んでいます。


「ぶー、シロの名前の方が良かったのに……」

「いやいや、あの名前は駄目だろう」


 シロが馬に付けようとした名前は、ト◯カイテ◯オーにディ◯プイン◯クト。

 シロがふてくされていたけど、そんな危険な名前は付けられないですよ。

 きっと、僕がどこかの人に怒られます。

 というか、シロは何でそんな名前を知っているんだ?


「若い馬ですけど、とても大人しくて扱いやすいですね」

「もし暴れ馬だったら大変でしたよ。勿論、そんな馬は買わないですけどね」


 スーも、二頭の馬に好感触を示しています。

 若いと気性が荒い可能性もあったけど、あの二頭は全くそんな素振りは見せません。


「お馬さん、元気になったって。じゃあ、シロがお馬さんを歩かせるよ!」

「シロ、ちょっと待ってろ。皆が馬車に乗ってないぞ」

「くすくす」


 こうして、午前中いっぱい馬車を操る訓練をして辺境伯様の屋敷に戻りました。

 フランとホルンでも扱える馬なので、全く問題ありません。

 馬を厩舎に連れていき、午後はシロ達は孤児院の子ども達と一緒に勉強します。


「そうか、遂に明日行くか。あんちゃんには世話になったな」


 僕は、教会の孤児院の建設現場に足を運んでいました。

 今日も多くの職人さんが働いている中、僕は棟梁に明日出発すると報告をしました。


「孤児院は俺達がキッチリと仕上げるから、あんちゃん達は自分の仕事を頑張りな。また、辺境伯領に来た時に出来たのを見てくれれば良いさ」


 僕達は最後まで見届けられないけど、ニカッと笑う棟梁がいれば間違いなく無事に孤児院が出来上がると思いました。

 今度西の辺境伯領に来た時に、この場所を子ども達が元気よく駆け回っていて欲しいなあ。

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