散歩の三百八十五話 孤児院の子ども達が様子を見に来ました

 昼食のタイミングで、屋敷に一時避難していた孤児院の子ども達にシスターさんが様子を見にやってきました。


「おおー! 何にもなーい!」

「空っぽだー!」

「お家がないよ!」


 すっかり解体の終わった孤児院を見て、子ども達はビックリしながらも走り回っていました。

 本当に元気な子ども達が多いね。


「シスター長、無事に孤児院の解体が終わりました。これから測量を改めて行い、終わり次第基礎工事に入ります」

「こうして多くの人が工事に携わってくれて、本当にありがたい事ですわ。怪我のない様に、今後とも宜しくお願いします」


 棟梁が元気になったシスター長に工事進捗を報告しているけど、シスター長も現場にいる人の多さにビックリしていました。

 実は昼食の手伝いに地元の主婦が駆けつけてくれていて、ケーシーさんやテルマさん達と一緒に料理を作っていました。

 追加分も直ぐに作れるので、孤児院の人達も一緒に食事を食べます。


「ねーねー、これからどんなお家が出来るの?」

「大きなお家?」

「カッコいいお家?」

「ははは、大きくてカッコいい家だ! 出来上がるのを待っていろよ」

「「「おおー!」」」


 棟梁に孤児院の子ども達が集まっていたけど、子ども達も新しい孤児院を楽しみにしています。

 子ども達は喜びを体で表現していて、とってもにこやかですね。


「教会の中も、かなり工事が進んでいますわね」

「あと一ヶ月もあれば、床材は張り終えます。ただ、他にも修理する所があるので、本格的に使えるのは年明けからですね」


 シスターさんと若い大工が教会について話をしているけど、椅子の修復などもあるし使えるまでは時間が掛かりそうです。


「おお、そうだ。街の建物をチェックしたら、補修が必要な孤児院があったぞ。建て直す程じゃなかったから、教会の修繕が終わったら人員をそっちにまわす予定だ」

「手がうてるうちにうった方が良いですね」

「冬は人手が余るから、逆に今のうちじゃないと大規模作業が出来ないんだ。正直、収穫祭が終わった後で良かったぞ」


 棟梁が今後のスケジュールを話してくれたけど、他にも補修が必要な建物があるという。

 補修くらいで済んで良かったと、そう思わないとね。

 

「よし、今日はこのくらいで終わりにしよう」

「「「はーい」」」


 その後も、夕方まで作業は続きました。

 子ども達も夕方まで元気に遊びまわっていました。

 教会の周りは余り人の出入りがないので、主に教会の前で遊んでました。

 基礎を壊すのも一日で終わったので、明日からは地盤改良に入ります。


「平らに均すのが難しいんだよな。更に整地ローラーとかを使って、地面を押し固めるぞ」

「「「おおー!」」」


 長く孤児院が使えるようにと、基礎工事は徹底してやるそうです。

 解体の原因になったのが基礎不良もあったので、棟梁もそこは気にしているそうです。

 ここからは、大工の腕の見せ所だね。

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