散歩の三百八十三話 まさかの妊娠発覚

「そうそう、もう一つ話があるのだよ」


 五分程目の前で僕が何を貰うかを聞かされていた所で、辺境伯様がついでみたいに思い出してきました。

 因みに、一番人気は勲章四つ貰って子爵に叙爵して、王族の血を引く女性を嫁に貰うというものでした。

 そんなの、絶対にありえないぞ。


「まあシュンも側で見て分かると思うが、トリアはシュンを自分が仕える人だと思っている」

「それは、何となく分かっていました」

「まあ、マリアの妊娠の件もあってシュンの所に行くのは少し先になるのだがな。更にいうと、エミリアの妊娠も今朝発覚した」


 あの、今さらりと爆弾発言しませんでしたか?

 エミリア様の妊娠発覚は、辺境伯家にとっても一大ニュースですよ。


「というか、エミリア様は動いても大丈夫なんですか? その、昨日も馬車で色々とあったみたいですが……」

「あんなの動いた中に入らないわ。臨月の時に、辺境伯様をジャイアントスイングでふっ飛ばしたわ」


 うん、全くもって問題なかった。

 やっぱり、エミリア様はとんでもない人だった。


「流石に安定期に入ってから領民に公表するが、シュン達はその前に王都に行くからな。先に知らせておく」

「えっと、エミリア様おめでとうございます。スー達には、辺境伯領を出てから伝えます」

「まあ、そういう事もあって、トリアがシュンの所に行くのはもう少し先になるわ」

「シュン様、子育てとかもバッチリ覚えてシュン様の下に向かいますね」


 僕の事を気にしないで、先ずは辺境伯家の事を優先にして下さい。

 ケントちゃんもまだ小さいし、子育てはとても大切ですよ。


「取り敢えずはこんな所だな。ケーシーとテルマには、何時出発するかを伝えてある。スー達にも今後の予定を伝えてくれ」


 という事で、話し合いはこれで終わりました。

 屋敷から教会に向かうと、ケーシーさんとテルマさんの姿もありました。


「それでは、シュンさん達も直ぐに王都に来るのですね」

「王都に来られたら、是非とも私達の屋敷に寄って下さい。歓迎いたします」


 先ずはこの先の予定を皆に伝えると、ケーシーさんとテルマさんが遊びに来てと言っていました。

 スーも含めて、屋敷に遊びに行くのは間違いないだろうな。


「うーん。だと、孤児院が完成するまでここにいないんだね」

「「残念……」」


 シロ達よ、元から孤児院が出来上がるまで辺境伯領にいる予定はないぞ。

 教会の床の張り直しも一ヶ月はかかるらしいし、どの道途中までしかいられないよ。


「十日後に出発となると、ある程度は買い揃えないとなりませんね」

「しかも今回は軍と一緒だから、街に泊まらない可能性も考慮した方が良さそうだ。最悪、王都まで野営を考えた方が良さそうだ」

「犯罪者の護送となると、下手に街に入れられないですよね」


 スーの言う通り、僕達と一緒に行くのは最上位クラスの犯罪者だ。

 街に入るのは、今回は難しいだろうなあ。


「「「わーい、キャンプだ!」」」


 シロ達よ、決してキャンプじゃないぞ。

 場合によっては、戦闘もあるんだぞ。

 まあ、そのくらいの気楽さの方が精神的に良いのかもしれないな。

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