散歩の三百七十四話 休む時は休まないと

「お代わり!」

「俺もだ!」


 そして、昼食時はもりもりと食べています。

 これだけ食べるのが、あのパワーの源なんだろうね。


「「「お代わり!」」」

「はいはい、ちょっと待っていてね」


 午前中頑張ったシロ達も、お肉サンドをお代わりしています。

 スー達も配膳に回っているけど、シロ達はまだまだ小さいからもりもりと食べないとね。


「うむ、私もお代わりを貰おう」

「あの、何でここにいるんですか?」

「視察だ。決して昼食が目当てじゃないぞ」


 お肉サンド四本目を頼みに来たのは、辺境伯様です。

 王都からの軍と打ち合わせした帰りなので、今日はキチンと馬車に乗っています。


「今の所、順調だな」

「僕達の魔法は、極力使っていませんけどね」

「当たり前だ。教会もそうだが、孤児院は完成までに数ヶ月かかる。シュン達がいつまでも辺境伯領にいるわけでもないのに、そのシュン達の魔法の力を借りるのはもってのほかだ」


 おお、口にお肉サンドを頬張りながらだけど、辺境伯様が良い事を言ったぞ。

 確かに、僕達はそんなに長く西の辺境伯領にいられないし、だからこそ地元の人の力を使っている訳だ。

 荷物運び一つにしてもやり方を新人冒険者に教えたりしているし、とても良い状況です。


「シュン達が力を発揮するのは、作業員が怪我した時だけだ。どんなに注意しても、事故は起こり得る。そんな事にならないのがベストだが、万が一の対応が出来るのは作業員の安心が違うぞ。ああ、お代わりをくれ」


 何だか、辺境伯様が辺境伯様らしい事を言っているけど、お肉サンド五個目に手を伸ばす所は相変わらずですね。


「他の公共施設や教会などの施設に不具合がないか、役人に確認させている。冬の職が少ない時期の、仕事対策としているぞ。まあ、来年に向けての畑の準備もあるがな。じゃあ、俺は帰るぞ」


 辺境伯様は、六個目のお肉サンドをつまみながら馬車に乗り込みました。

 まあ、仕事をやっているなら昼食を食べても問題はないし、多めに見ましょう。


「いやあ、美味しいまかないが出ると力が出るなあ」

「前の現場のまかないは最悪だったから、より一層あんちゃんの料理が際立つな」


 昼食を食べた他の冒険者達は、ゆっくりしたり昼寝をしたりしています。

 休む時には休まないとね。


「はい、どうですか?」

「おお、嬢ちゃんの治療はすげーな。あっという間に怪我が治ったぞ」

「これだけ腕の良い治癒師がいると、とても助かるな」


 スーは、昼食の後で怪我人の治療をしていました。

 確かに辺境伯様の言った通り、治癒師がいると現場の雰囲気が違うね。


「「「すー、すー」」」


 僕はというと、後片付けをしてシロ達を膝に乗せています。

 シロ達も午前中は張り切っていたから、疲れちゃったね。

 さて、もう少ししたら午後の仕事開始です。

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