散歩の三百六十五話 作業する教会に到着します

 今日からは、教会の女神像の修理を行います。

 最初聞いた話だと作り直してくれレベルだったけど、一体どのくらいなのか。

 実際に現地に行ってみないと分からないね。


「皆様、お待たせしました」

「「「お願いします」」」


 迎えの若いシスターさんが屋敷に来たので、僕達は後をついていきます。

 そして、十分程歩いて町中にある小さな教会に到着しました。

 何だろう?

 立地はとても良いのに、少し暗い感じがするぞ。

 僕達は、教会の中に入りました。


「こちらが女神様の木像になります」


 女神像は、確かに経年劣化で黒くなってひび割れも何箇所か起きている。

 僕はアオと顔を見合わせた。


「恐らくですけど、このくらいなら修復可能です」

「えっ、本当ですか?」


 シスターさんはかなりびっくりしているけど、作り直ししなくても良いんじゃないかな。

 材料は街にありそうだし、少し時間かかるけどいけそうです。


「実は、この教会はこの街で一番古い歴史があります。女神様の像も歴史がありまして」

「なら、大事にした方が良いですね」


 随分と年季の入った教会だと思ったら、街で一番古いのか。

 ついでだから、教会の修復もやった方が良いな。

 もう一つ気になった事が。


「失礼ですけど、もしかしてこの教会はシスターさん一人ですか?」

「いえ、他にもおります。今は、併設している孤児院で子ども達の世話をしています。その、シスター長は病気で寝込んでおりますが」


 おっと、予想以上に大変な事になっているぞ。

 手分けして作業をしないと。


「手始めに、教会内を生活魔法で可能な限り綺麗にしますね」

「えっ?」


 ぴかー。


「取り敢えず、こんなもので良いでしょうか?」

「こ、これが雷撃の料理人の力ですか……」


 ある程度綺麗にしないと補修箇所が分からないし、魔法で綺麗にしただけだからね。


「スー、シスター長の治療をお願いできる? できれば孤児院の様子も見てきてくれると助かる」

「はい、任せて下さい」

「他の人は、教会内を綺麗に掃除してね」

「「「はーい」」」


 スーを中心に、治療班と清掃班に分けて動いて貰います。


「トリアさん、僕とアオを木工所に案内して貰えますか?」

「はい、お任せ下さい」


 僕達は、女神像修理の道具を買いに行きます。

 教会自体が傷んでいる可能性があるから、木材も購入してこないとな。

 トリアさんに先導して貰いながら、僕はそんな事を考えていました。

 そして、木材店に到着です。


「木工用のパテだな。漆を使ったのもあるから、用意するぞ」


 対応してくれた棟梁が、直ぐにひび割れ対策の材料を手配してくれました。

 そして、ちょっと考えて一言。


「おい、若いの何人か一緒に教会を見てこい」

「「「へい」」」


 何と、職人さんまで出してくれました。


「あの、良いんですか?」

「問題ないぞ。というか、祭りが終わって一段落していたんだ。あの教会は古いし、若い連中も修復現場を見る良いチャンスだな」


 おお、棟梁がニヤリとしていて、結構格好いいぞ。

 思わぬ助っ人と一緒に、僕達は教会に戻りました。

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