散歩の三百五十六話 頭にきた人たち
ズゴゴゴゴ!
「シュンは、護衛の四人を相手してくれるかしら。私はヘラに色々と聞かないとならないわ。ふふふ、とても楽しみだわ」
「イエッサー、マム!」
怖い怖い怖い怖い。
エミリア様から、とんでもない怒気が溢れ出ているぞ。
エミリア様は端正な顔立ちから考えられない程に、怒りの表情に変わっています。
僕の側にいるシロ達も、僕の背中に隠れて、ビクビクしながらエミリア様を見ています。
「ふん、エミリアは相変わらず脳筋なお馬鹿さんね。この美しい私に歯向かおうとするなんて」
対するヘラは、エミリア様を鼻で馬鹿にした表情をしています。
というか、ヘラはエミリア様のこの怒気をまともに浴びているのに、まだそんな態度を取っているのかよ。
どう見ても、二人はライバル関係なのだろうな。
もしかしたら、ヘラが一方的にエミリア様の事をライバル視しているだけかもしれない。
ズゴゴゴゴ!
「私も今回はとても怒っています。色々な人を傷つけて、あなた達は何をしたいんですか?」
ヤバい、スーも完全にブチ切れています。
間違いなくケーシーさんとテルマさんが、結婚式を守ろうとして爆発型の魔導具に覆いかぶさる程追い詰められたのが原因でしょう。
「じ、じゃあ、シロとアオがタッグを組んで。フランとホルンはここで見ていて……」
「「「とー!」」」
「「「ぐはぁ!」」」
僕がシロ達に注意を促している最中に、シロ達は舞台から飛び出していました。
そして、あっという間にヘラの護衛のうち三人をノックアウトしています。
「スーも頭にきていると思うけど、ここは落ち着いて……」
ひゅん。
「せい!」
「うわあー」
ドーン!
僕は怒り心頭のスーにも話しかけたけど、スーは聖魔法の身体強化で一気に護衛に近づき、一本背負いで護衛を思いっきり地面に叩きつけていました。
あっという間にヘラの四人の護衛は気絶して、守備兵に拘束されました。
僕、何もやる事がなくなっちゃったけど、念の為にエミリア様の後をついていこう。
「ヘラ、あなた達は何でこんな事をしたのかしら?」
そして、これまた怒り心頭のエミリア様が、ゆっくりとヘラに近づいて行きます。
流石にヘラも、あっという間に護衛を倒された上にエミリア様が近づいて来たので額に汗をかき始めました。
「ふん、この私の結婚相手が決まらないのに、エミリアがさっさと結婚を決めたからでしょうが! 何故、脳筋が結婚できるのよ! 人神教の神の教えもあるけど、私はエミリアの幸せを全てぶち壊してやるわ!」
えっと、もしかして辺境伯領で起きた一連の人神教の騒ぎは、ヘラのエミリア様への逆恨みも大きな要因では?
顔を真っ赤にしてつばを飛ばしながらヘラが叫んでいるけど、叫んでいる内容はとても下らないものだよ。
確かにヘラは見た目は美人だけど、あんな自尊心や自己中の塊みたいな女性にはお近づきになりたくないなあ。
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