散歩の三百三十五話 まさかの犯人
すると、辺境伯様がケーシーさんとテルマさんを牢屋の方へ案内していきました。
そして、一分もしないでこちらに戻ってきました。
ケーシーさんとテルマさんの顔色は、ここで会った時よりもより一層悪くなっていました
「悪い知らせだ。アオが突入した人神教のアジトで捕まえた者の中に、ケーシーとテルマの家の者並びに兄が含まれていた」
「えっ!」
辺境伯様は、とても残念そうに話をしていました。
つまり、ケーシーさんとテルマさんが確認して間違いないと断定したからでしょう。
そして、ルーは静かに成り行きを見守っていました。
恐らく、屋敷で報告を聞いていたのでしょう。
「辺境伯様、この度は我が家の者が、そして兄が大変なご迷惑をおかけいたしました」
「本当に申し訳御座いません。私にも処分を言い渡して下さい」
ケーシーさんとテルマさんは、涙ながらに辺境伯様に謝罪をしていました。
自分自身が収穫祭の運営に携わっていたからこそ、どれほどの事を家の者や兄がやらかしたのかを痛感しているのでしょう。
辺境伯様は、ため息を一つついてからケーシーさんとテルマさんに話しかけました。
「先ず謝罪は受け取ろう。そして、ケーシーとテルマに問題はない事はアオが鑑定をした事により分かっている」
流石はアオと辺境伯様だ。
既にケーシーさんとテルマさんの身分照会を、改めて行っていたんだ。
というか、ケーシーさんとテルマさんは広場と屋敷の往復だったし、広場でも屋敷でも必ず誰かと一緒にいたもんね。
「だが、ナスカ子爵家とフランツ子爵家は何らかの処分を受けるだろう。調査結果次第だが、事が事だけに降格もあり得るだろう」
「はい、それは覚悟の上です」
「それほどの事をしたと、私も認識しております」
辺境伯様もはっきりとした口調で話をしたが、ケーシーさんとテルマさんも真っ正面から受け止めていました。
辺境伯家への殺人未遂が含まれるから、家格が下がる可能性も充分あるでしょうね。
「既に王都には連絡をしている。そして、今夜中に屋敷には捜索が入るだろう。家族の者が拘束される事も覚悟はしておいた方が良いだろう」
「「はい」」
既に、カスアク伯爵家の者は軍に捕縛されています。
ケーシーさんもテルマさんもその事実を知っているので、今後どうなるかが不安なのでしょう。
それでも、辺境伯様にはっきりと返事を返していました。
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