散歩の三百三十一話 街のおばちゃんも準備を手伝います

 次の日も、頑張って収穫祭の準備を進めます。

 力仕事は街の人に任せて、僕達は結婚式の衣装直しに専念します。


「よいっしょ!」


 裁縫が苦手なフランは、街の人と一緒に力仕事をしているけどね。


「服の破れも、このくらいで済んで良かった。これなら、一日あれば直るな」

「私もお手伝いいたします」

「シロも頑張るよ!」

「ホルンも!」


 別の場所に保管されていた結婚式で使用する服はそこまで破れてないので、集中して直しちゃおう。

 スー達は係と打ち合わせをしているので、今は僕達だけで作業します。


 ちくちくちくちく。


 破れた所を縫い合わせて行きますが、最悪結婚式を行う間だけは持ってほしいのできちんと縫い合わせます。

 すると、ここで心強い助っ人が登場します。


「私達も手伝うよ」

「こういう事は任せな」


 そう、街のおばちゃん達です。

 おばちゃん達も何か手伝おうと思っていたらしく、ちょうど僕達が服の補修を始めたので良いタイミングだと思ったみたいです。


「おおー! 早い早い!」

「すごーい!」

「あはは、まあ旦那や子どもの服のほつれを直したりしているからね」

「このくらいはできて当然よ」


 流石はおばちゃんで、シロやホルンもビックリするくらいのスピードで服を修繕していきます。


「収穫祭の合同結婚式は、毎年盛り上がるからね」

「事前に発表されていたけど、今年は五組らしいわね」

「新婚でも再婚でも関係ないわよ。おめでたい事は、皆で祝ってあげたいわ」


 おばちゃん達も、合同結婚式を楽しみにしているんだね。

 街の人も、それだけ収穫祭を楽しみにしているんだ。

 闇組織や人神教に負けないように、僕達も頑張って準備を進めないとね。


「因みに、合同結婚式の中の一組はあたし等の知り合いなんだよ」

「一緒になって子どももいるのに、忙しくて中々結婚式を挙げられなくてね」

「今回、念願叶ってやっと結婚式を挙げられるんだよ」


 そっか、知り合いが結婚式に参加するとなると、おばちゃん達のやる気も違うよね。

 こうして、午前中で何と服の補修が終わりました。


「料理はあたし等も手伝うよ」

「この人数じゃ、街の人はさばけないだろうね」


 そして、炊き出しの時間になると、更に多くのおばちゃんが集まってきました。


「そりゃ、こんな珍しい料理を覚えられる良い機会だよ」

「調理方法も簡単だし、何より辺境伯領の特産品をふんだんに使っているのが良いわ」

「街の人向けにも観光客向けにも良いわね」


 うん、おばちゃん達のバイタリティが物凄いです。

 今集まっているおばちゃん達は近くの料理屋で働いているらしく、良い機会だから僕の作る料理を覚えたいみたいですね。


「あんちゃんは、あたし等に料理を覚えられても問題ないんだね」

「ええ、秘密って訳じゃないですし、全然構いませんよ。それに美味しく作れるかは、結局その人の腕次第ですから」

「中々面白い事を言うね。あたし等も料理の腕には自信があるから、美味しく作ってやるわよ」

「そうそう、任せて頂戴な」


 僕は他の辺境伯領でもそうだったけど、別に美味しく作れればどんどんと料理を覚えて貰いたいです。

 そのうちに、その地方独自の味付けになったら面白いよね。

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