散歩の三百二十九話 収穫祭に向けて再び準備開始です

 闇組織が変装して西の辺境伯領に侵入してくる可能性はあるけど、そこはとにかく防壁の門でのチェックを強化するしかない。

 人族主義を掲げる連中だから、街の住人とトラブルを起こす可能性もあるしなあ。


「おお、王城から連絡だ。どうも、カスアク伯爵と関係者は捕縛されて牢屋に入れられたそうだ。屋敷に入った軍に喧嘩を売って、返り討ちにあったそうだ」


 うん、間違いなくカスアク伯爵は大馬鹿な人で確定ですね。

 辺境伯様も、かなり呆れた表情をしています。

 下手したら、先に捕縛されたあの冒険者は帰る家が無くなるかもしれないぞ。


「収穫祭は二日間行われるから、狙われるとなると二日目だな。初日も勿論警備は強化するが、二日目の結婚式が一番狙われるだろう」

「今日から、信頼できる兵を二十四時間交代で広場の警備にあたらせるわ。何もしないよりかは良いでしょう」


 先代様とエミリア様が、今後の展望を話してくれました。

 話はこれくらいにして、僕は作業を手伝う為に広場に向かいました。


「おーい、こっちを持ってくれ」

「よっしゃ、任せろ!」


 広場では多くの獣人が集まっていて、突貫工事で収穫祭に向けての作業が進んでいました。

 きっと、街の人も収穫祭を何とか行いたいという気持ちなんですね。

 そして、既にアオは女神像の大半を作り終えていた。

 いくら何でも早すぎじゃない?


「あっ、シュン様お疲れ様でございます。街の皆さんが手伝ってくれました」

「とても有り難いね。せめてだけど、屋台のテストを兼ねて街の人に昼食を作ってあげよう」

「私もお手伝いいたします」


 一足早く広場に来ていたトリアさんが、僕の調理の手伝いをしてくれます。

 実は、たこ焼き用の鉄板とかは無事だったので、屋台のメニューに変更はない予定です。


 ジュージュー。


「順番に並んでね!」

「いっぱいあるよ!」

「熱いから気をつけてね」


 シロ達もお昼になって客の誘導をしてくれるので、特に混乱する事なく料理が提供されていきます。


「お、俺のには肉が入ってたぞ」

「こっちはチーズだ。中々面白い料理だな」


 ケントちゃん命名のまんまる焼きも、獣人に大好評です。

 唐辛子を入れたちょっと辛めの味も用意したら、特に大型獣人に受けていました。


「因みに収穫祭で一番盛り上がるのは、やっぱり結婚式ですか?」

「そうだな。今年はあの女神像を見て、申込者も多いらしい」

「初日の神への収穫の祈りも人が集まるが、やっぱり結婚式が一番盛り上がるな」


 料理を受け取る街の人に収穫祭の状況を聞いても、やはり結婚式が一番盛り上がるみたいですね。


「スー、そういう事だ」

「分かりました。一番盛り上がる時に、邪魔をしてくる可能性があるということですね」


 スーも、僕が何を言いたいか直ぐに把握してくれました。

 ケーシーさんとテルマさんも、僕に頷いてくれました。


「祭りの邪魔をしてくる馬鹿がまだいるだと!」

「そんな馬鹿野郎は、見つけ次第叩き潰してやるぞ!」


 というか、僕達の話を聞いた獣人が更に盛り上がっていました。

 実際に広場の施設が破壊されているので、街の人も頭にきているんですね。

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