散歩の二百九十四話 二人がパーティに選ばれた理由

 どうやら西の辺境伯様の使いの人にも僕達が同席して色々と説明しないとならないみたいです。

 正直言って空気がとても重いけど、僕達には良い人なら積極的に話しかける人がいます。


「ねーねー、ケーシーお姉ちゃんとテルマお姉ちゃんはどうやって戦うの?」

「え、えっと、私は剣士スタイルですわよ」

「私も剣士スタイルですわ。二人共身体強化魔法が使えるので、そこそこの腕はありますよ」

「「「おおー!」 カッコいい!」」


 そういえば、ケーシーさんとテルマさんは腰に剣をぶら下げているよね。

 捕まった冒険者も剣士スタイルだけど、前衛三人で上手くいくのかな?

 スーも同じ事を思ったみたいで、二人に質問をしていました。


「じゃあ、デイン様の立ち位置はどうしたんですか?」

「その、デイン様は後衛で立っているだけでした」

「俺は指揮する立場だからと言っていまして……」


 うん、奴はとんでもないクズだな。

 きっと、何かあったらトンズラする気だったのだろう。


「恐らく奴は男性だと反撃される可能性があるから、連れも扱いやすい女性にしたのだろう。とんでもないクズだな」


 ギルドマスターも思わず顔をしかめる程、とんでもない内容だった。

 きっと、楽してランクアップしたかったんだろうなあ。


「因みに、最初デイン様はスーさんをパーティに誘う気でした。南の辺境伯領での騒ぎで、王都に帰ってくると思っていたそうです」

「しかし、スーさんは各辺境伯領へ向かいました。ですので、私達が選ばれた様です」

「それは申し訳ありません。でも、本音を言うとデイン様とは一緒に行動したくありませんわ」

「「私もです!」」


 うーん、寄親である家の子どもを女性陣が寄ってたかってボロくそに言っています。

 それだけあのデインってのは、人望がないんですね。

 そんな女性陣の会話に、シロ達も加わります。


「うんとね、スーお姉ちゃんには二つ名があるんだよ」

「えっと、確か聖なる女帝だっけ?」

「シロちゃん、フランちゃん、二つ名の事は言わないでね」

「あとね、シュンお兄ちゃんは電撃の料理人だよ」

「ふ、二つ名まであるとは……流石はスーさんです」

「でなければ、半年ちょいでDランクにはならないですよね」


 スーは二つ名がつけられた経緯が少し恥ずかしいので、あまり二つ名で呼ばれたくないみたいです。

 でも、その内にバレるのだから、早い内に知っておいた方が良いよね。

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