散歩の二百九十二話 真偽判定

「よし、この馬鹿を拘束しろ。真偽チェックも念入りに行え」

「「「はい」」」


 ギルドマスターの命令を受けた受付のお姉さんが、ギルドマスターから男性冒険者を受け取ってぐるぐるに縛って担ぎあげていきます。

 うん、流石獣人なだけあって、女性でも軽々と男性を持ち上げているよ。


「さて、お前らにも話を聞かないとならないな。そっちの女性もあの馬鹿に関わりがありそうだから、一緒に話を聞かせて貰うぞ」


「「「はい……」」」


 二人の女性冒険者とスーも、思わず項垂れながらギルドマスターの後をついて行きます。

 そりゃ、あの男性冒険者があれだけ大騒ぎした上に何かをやらかしたんだ。

 三人が気落ちするのも仕方ないよね。

 勿論僕とシロ達も、スー達の後をついていきます。


 かちゃ。


「先ずは座ってくれ。えーっと、どこにあったけな?」


 ギルドマスターが個室の机の上をガサゴソと漁っています。

 何をしているのかなと思ったら、冒険者登録時に使用する水晶みたいな魔導具を持ってきました。


「よし。じゃあ、真偽チェックを行う。冒険者カードを出して、名前を言いながら水晶の上に手を置いてくれ」

「「はい」」


 先ず最初に女性二人のチェックを行う事に。

 といっても恐らくこの女性二人は、何も問題ないと思うけどなあ。


「ナスカ子爵家のケーシーです。まだ冒険者登録したばかりです」

「フランツ子爵家のテルマです。私も冒険者登録したばかりになります」


 ケーシーさんは赤い髪をアップにしていて、テルマさんは青い髪をボブヘアにしています。

 二人ともスーと殆ど身長は変わらないけど、二人よりも断然胸があります。


「シュンさん、今不埒な事を考えませんでしたか?」

「滅相もない」


 相変わらずスーの前で胸の事を考えるだけでも厳禁ですか。

 それはそうと、水晶型の魔導具にケーシーさんとテルマさんが手を乗せると、僕達が冒険者登録した時と同じく白く光りました。


「ふむ、二人は全く問題ないな。では、お前らも確認するか」


 やはりというか、ケーシーさんとテルマさんは全く問題なかったみたいです。

 続いて僕達の真偽チェックになりますが、ここでちょっとした一騒動が。


「シュンです。冒険者ランクはDで、称号を三つ持っています」

「スーです。同じく冒険者ランクはDで、三つ称号があります」

「シロだよ! Dランクで三つ称号があるよ!」

「フランです。 Eランクで、称号二つあるよ」

「えっと、ホルンです。Eランクです。二つ称号があります」

「「「……」」」


 僕達の冒険者としての内容を伝えると、ギルドマスターだけでなくケーシーさんとテルマさんも唖然とした表情になりました。

 勿論、水晶型の魔導具も白く光っています。


「あ、あとね。アオは武道大会のチャンピオンなんだ!」


 シロが発したトドメの一言に、ギルドマスター達は完全に沈黙してしまいました。

 アオが水晶型の魔導具に乗ったけど、やはり白く光るだけだったけどね。

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