散歩の二百八話 ちょっとお姉さんになったかな?
辺境伯家に新しい命が誕生してから三日後、フィーナさんとシロ達は勉強が終わると赤ちゃんの所に駆けつけていました。
赤ちゃんに会いたいパワーで、皆とても早く勉強を終えることができました。
いつもこんな感じで勉強をしてくれると、僕としてもとても助かるんだけどね。
コンコン。
「お義姉様、入って良いですか?」
「はい、どうぞ」
赤ちゃんが寝ている時もあるので、フィーナさんが控えめにノックをします。
そして、ドアを開けるのも気をつけています。
今や辺境伯様の屋敷は、産まれたての赤ちゃんを中心に回っています。
「アーちゃん、お姉ちゃんが来たよ」
「すーすー」
「寝ているね」
「気持ちよさそうだね」
「赤ちゃん可愛いね」
辺境伯家の初孫は、アーサーという勇ましい名前を付けられました。
フィーナさんは赤ちゃんの愛称であるアーちゃんと呼んでいたけど、赤ちゃんはすやすやと寝ていました。
シロ達も、ベビーベッドで寝ているアーサーちゃんを見つめていました。
「ちょうどおっぱいをいっぱい飲んで、おしめも取り替えて寝てしまったのよ」
「そうなんですね。赤ちゃんは寝るのが仕事ですもんね。お義姉様はお加減如何ですか?」
「体もすっかりと良くなったし大丈夫よ」
フィーナさんのお義姉さんも、産後だけど体の調子は良さそうです。
その為に、僕達がフィーナさんのお義姉さんに回復魔法をかける必要もなさそうです。
そして心なしか、フィーナさんもお姉ちゃんとしての自覚が出てきた様です。
アーサーちゃんが産まれてきてから、フランとホルンに接する事も増えました。
アーサーちゃんがまだ産まれたてというのもあってか、フィーナさんはフランとホルンに姉貴分として色々している様です。
実際には、アーサーちゃんとフィーナさんは甥っ子と叔母の関係ですけどね。
「アーちゃん、早く大きくなってお姉ちゃんと一緒に遊びましょうね」
「ふふ、フィーナはすっかりアーサーのお姉ちゃんね」
「うん!」
ベビーベッドの側にやってきたフィーナさんは、寝ているアーサーちゃんの頭を撫でながら優しく話しかけます。
フィーナさんのお義姉さんも、微笑ましく思いながらフィーナさん達を見つめていました。
「女の子って、数日でこんなにも変わるんですね」
「私の出産が近くなった頃から段々と変わってきたけど、実際に赤ちゃんを見て更に気持ちが昂ぶったのね」
「ふふ、とても可愛いですわ」
ベビーベッドの周りに集まっている皆の事を、僕達はフィーナさんのお義姉さんのベッドから見ています。
心なしかシロ達もお姉ちゃんって感じになっていたので、赤ちゃんに会えた効果が色々な所に波及している様です。
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