散歩の二百五話 皆で果樹園のお手伝い
昼食後は、予定通りに冒険者ギルドに行って収獲のお手伝いをする依頼を受けます。
といっても、どうも運搬系の依頼が殆どなので今回は運搬系のお手伝いをします。
ギルドで受付をして、依頼元の農園へ移動します。
農園の近くまで馬車便が出ているそうなので、移動はあっという間です。
「「「「こんにちわ」」」」
「おやおや、これはこれはフィーナ様ではありませんか。それに可愛い子もきていますわね」
農園に着くと、木々の間からおばあさんが顔を出しました。
おばあさんは、この場にフィーナさんがきていてびっくりしていました。
とりあえず、要件を話しましょう。
「おばあさん、僕達は冒険者ギルドからの依頼を見てここに来ました。フィーナさんも、本日は冒険者として来ております」
「おばあさん、何でもお手伝いをするよ」
「そうかいそうかい、ありがとうね。ちょっと待っててね。おじーさん、こっちに来てくださいよ」
「おーう、なんだーい。って、フィーナ様ではないですか」
僕達が農園に来た理由をおばあさんに伝えると、おばあさんは納得して果樹園の奥にいたおじいさんを呼んでいます。
おじいさんも、フィーナさんを見てびっくりしています。
「運搬するものはいっぱいあるんだよ。でもね、年なのか腰をやってしまってなあ」
「まあ、それは大変ですね。もし宜しければ、治療もしますわ」
「おお、すまんね。じゃあ、運搬の方はおばあさんにお願いしましょうか」
「ええ、任せて下さいな」
という事で、おじいさんの腰の治療はスーとパールが行う事になって、運搬は僕達で行います。
僕達はおばあさんについて行きながら、果樹園の中ほどに歩いていきます。
「桃の良い匂いがするね」
「そうだよ、ここは色々な種類の桃を育てているんだよ」
「そうなんだ」
「まだまだいっぱいあるね」
おばあさんについていきながら、シロ達は周囲を見回します。
ここの果樹園は桃を栽培していて、よく見ると数種類の桃が木になっていた。
と、ここで僕達が作業を行う所に到着です。
「じゃあ、かごに入っている桃を専用の木箱に入れて下さいな。ただ、桃は傷みやすいから、そっと扱ってくださいね」
「「「「はーい」」」」
桃はやわらかいので傷みやすいので、皆で気を付けながら木箱に移していきます。
移す途中で痛みのある桃などは、おばあさんが確認してはじいていきます。
アオも、皆と一緒に桃を木箱に移していきます。
「桃がいっぱいになった木箱は、家にある倉庫に持っていきますよ」
一時間ほどかけて、かごに入っていた桃を専用の木箱に移しました。
後は、この木箱を移動するだけです。
見た目はとても重いけど、
「ここから、アオの出番だね」
「アオ? このスライムかい?」
「そうだよ。アオは凄いスライムなんだ!」
おばあさんにとっては、アオは普通のスライムだもんね。
シロがアオは凄いとどんなに言っても、普通は信じられないだろう。
という事で、実際にアオの凄さを見てもらいましょう。
しゅっ。
「こりゃたまげたよ。木箱が消えてしまったよ」
「アオはアイテムボックスが使えるんだよ」
「アオちゃんは凄いスライムなんだ」
「確かにアイテムボックスを使えるスライムなんて、聞いたことがないわね」
おばあさんはアオがアイテムボックスを使ったのを見て、腰が抜けそうなほど驚いています。
アオはというと、びっくりしているおばあさんに向けて触手をフリフリとしていました。
あとは家に向かって、倉庫に木箱を運ぶだけです。
「おや、おばあさんや、木箱はどうしたのだい?」
倉庫に向かうと、すっかり腰が良くなったおじいさんがスーとパールと一緒に待っていました。
僕達が木箱を持っていないので、不思議そうに思っているそうです。
と、ここでアオが倉庫の中に入りました。
しゅっ。
「こりゃたまげた。突然木箱が現れたぞ」
「おじいさん、驚かせてすみません。このアオというスライムは、アイテムボックスが使えるんですよ」
「へえ、こりゃ凄いスライムじゃのう」
アオがアイテムボックスから木箱を出したのを見て驚いたおじいさんに、スーがちょっと慌てながら説明しています。
アオも、おじいさんに触手を合わせてごめんってしています。
なにはともあれ、依頼は完了です。
「はいよ、サイン完了だ。腰も良くしてくれてありがとうな」
「ちょっと傷んでいるけど、傷んだところを切れば食べられるよ。持っていきな」
「「「「ありがとー」」」」
おばあさんから規格外の桃を貰って、僕達は帰路につきます。
「楽しかったねー」
「うん、楽しかったね」
シロとフィーナさんが楽しそうに感想を言い合っていますが、収穫体験はできなかったけどそれでも楽しかった様です。
お土産で貰った桃も、皆で美味しく頂きました。
時間があったら、また果樹園の作業を行いたいな。
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