散歩の百三十七話 僕達も講習の補助をする事に
フランとホルンは部屋の一番前に座り、僕達は部屋の壁側に移動します。
アオは、フランとホルンの側に控えています。
そして、リリアナさんによる初心者向け講習が始まります。
「皆さん、おはようございます。本日皆さんの講師を務める、ギルドマスター補佐のリリアナです」
リリアナさんが挨拶をすると、流石にすべてのカテゴリ冒険者がリリアナさんの方を向いた。
勿論、フランとホルンもリリアナさんの話を聞いています。
「皆さんは、冒険者登録をして間もない人ばかりです。冒険者は、ただ依頼をこなしてお金を儲けるだけではありません。人に信頼されてこそ、正しい冒険者といえましょう。今日は短い時間ですが、ここで学んだ事をしっかりと覚えて今後の冒険者活動にいかして下さい」
意外にも全ての冒険者が、リリアナさんの話を真剣に聞いていた。
僕達の時は、あの二人の為に別の意味でシーンとなっていたもんな。
「今日は人数も多いので、助っ人を呼んでいます。シュンさんとスーさんとシロちゃんです」
おっと、ここでリリアナさんが僕達の紹介を始めたぞ。
ここはちゃんとしないと。
すると、若い女性の冒険者が手を上げてリリアナさんに質問をしてきた。
「すみません、シュンさんは冒険者として参加ですか?」
「ええ、そうですよ」
「花見祭りの屋台で料理を作っていたので、てっきり料理人だと思っていました」
嗚呼、まさかの指摘に僕はガクリとなってしまった。
若い女性の冒険者の発言を聞いた他の人も、僕の事を指差して何処かで見た事があると思ったと言っている。
どうも、ここにいる殆どの人は花見祭りに参加していて、僕が料理を作っていたのを見ていたらしい。
リリアナさんもスーもシロも、僕の方を見てあちゃーってなっていた。
僕の方があちゃーってなりたいですよ。
「シュンさんとスーさんとシロちゃんは冒険者になって間もないですが、既にゴブリンハンターの称号を持っています」
「すげー、辺境伯様に料理を振る舞っただけでなく、ゴブリンハンターの称号まで持っていたのか」
「そうですわ。シュンさんは本当は治癒師として花見祭りに参加するはずが、いつの間にか料理人に変わっていました」
他の冒険者がリリアナさんの話の内容に感嘆の声を上げていたけど、この反応を見る限り実行委員長がギルドで話しした辺境伯様にカレーを出したという内容がかなり広まっていそうだ。
ともあれ僕達の紹介が終わったので、早速講習に入ります。
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