散歩の百三十五話 女性陣の服選び

 花見祭りの会場跡でのんびりとした後、僕達はフランとホルンの服をもう少し見繕う事にした。

 花見祭りの依頼で得た報酬も結構なものなので、マジックバッグも買ってあげよう。

 

「可愛い服を選んであげるわね」

「「「やったー!」」」


 スーがフランとホルンに声をかけると、何故かシロとアオまで喜んでいた。

 これから段々と暑くなってくるので、ついでにシロの服も見繕ってあげよう。

 

「この服は可愛いわね。二人にぴったりよ」

「わあ、可愛い!」

「これ、いいなあ」


 まずスーが見繕ったのは、半袖のワンピースだ。

 夏服に丁度いいし、二人にも良く似合っている。

 ちなみに、フランが薄い緑色でホルンが薄いピンク色だ。


「シロにもワンピースがあった方が良いな」

「わーい」


 シロにも、真っ白なワンピースを選んであげた。

 シロもワンピースを試着をして、とても嬉しそうだ。


「冒険者服も選びましょうね」

「フランは動きやすいのが良いな」

「ホルンはスーお姉ちゃんと同じのが良いな」


 格闘家タイプのフランと魔法使いタイプのホルンで、冒険者服も分けてあげる。

 フランには大きな尻尾があるので、ミニスカートにスパッツの組み合わせだ。

 一方のホルンは、ロングスカートに短めのローブを身に着けている。

 二人とも新しい冒険者服にとても満足していた。

 更に服選びは続きます。


「高貴な人に会う様に、ドレスも選びましょうね」

「「「はーい」」」


 今後も別の辺境伯家に行く事になっている。

 キチンとしたドレスを買っておいて損はないだろう。

 良く考えたらシロもドレスは持っていなかったので、シロの分も選んであげよう。


「シロは黄色にする!」

「フランは青!」

「ホルンは赤が良いな」

「色が決まったら、サイズにあったドレスを試着しましょうね」

「「「はーい」」」


 希望の色も決まったので、三人はスーに連れられてサイズ合わせを行う為に店の奥に向かっていった。

 しかし、この店は品揃えが良いなあ。


「当たり前よ。ここは私の実家で東の辺境伯領一番の服屋だよ」

「わっ、実行委員長の奥さんじゃないですか。僕の心の中の呟きを読み取らないで下さい」

「ははは、あんちゃんの顔にバッチリと書いてあったよ。あたしも母の様子を見に、たまたま実家に来たんだよ」


 僕の背後からいきなり実行委員長の奥さんに声をかけられたので、僕はかなりびっくりしてしまった。

 でも辺境伯領一番の服屋なら、この品揃えも納得だ。

 僕も三人の服を選ぶ合間に自分用の服を選んでいるけど、三人は直感で直ぐに服を選んでいるから、待つ方としてはとても助かる。


「しかし、二人とも良い笑顔になったね。奴隷市場から開放された時は、不安そうな顔をしていたよ」

「そうですね。僕もスーも手探りでやっていますけど、やっぱり子どもには笑顔でいてもらいたいです」

「あたしだって、実の子どもでさえ手探りでやっているんだ。あんちゃんは良くやっているよ」


 バシバシ。


「痛い! 痛いですよ」

「ガハハ」


 テンションが高い実行委員長の奥さんに、僕は思いっきり背中を叩かれてしまった。

 まあ、僕も子育ての苦労をしているから、実行委員長の奥さんも僕の苦労が分かっているのだろうな。

 ちなみに、実行委員長の奥さんのお陰で少し値引きして貰った。

 北の辺境伯領に向かう前に、また寄らせて貰おう。

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