散歩の百二十話 教会を巡る攻防の開始

 僕達は走って教会に向かっているけど、僕と並走する商店街の実行委員長に質問してみた。


「実行委員長、その、体調は大丈夫ですか?」

「全く問題ないぞ。美味い飯も食べたし、休んだから体力も回復済みだ」

「そうですか。それは良かったです」

「それに、一仕事終われば美味い酒にありつけるんだ。なあ、皆!」

「「「おう!」」」


 どうも商店街の人々は、この後飲むお酒の為にやる気になっているという。

 実行委員長の掛け声に、他の人もやる気満々で答えていた。

 因みに僕達は全力疾走しているけど、フランとホルンも身体強化が使える様になったので集団から遅れずについていっています。


「ま、まって。ちょ、ちょっと、速い、よ」

「あんたは本当に走るのが駄目だね。一体誰に似たのかしら」


 唯一集団から遅れているのは、実行委員長の娘さんです。

 そんな娘さんの姿を見て、実行委員長の奥さんが呆れた目で見ていました。


 そして、僕達は教会に無事に到着。

 教会の周りは、多くの兵が固めています。

 そんな中、一人の兵がこちらにやってきました。


「報告します。複数の者が教会内に駆け込んだ後、教会内から魔力反応が強くなりました」

「奴らが何かをしているのは間違いないな。私にも不穏な何かを感じるぞ」

「最早、一刻を争う状態ですな。数人で教会の扉を開けて中を確認してこい。扉が閉まっていたら、無理矢理でも開けてくるのだ」

「他の兵も、聖騎士と共に教会へ」

「「「はっ」」」


 兵の報告を聞いた辺境伯様と聖騎士の偉い人が、直ぐ様兵に指示を出した。

 僕達も万が一に備えて、何時でも動ける様に準備をする。

 すると、教会に兵が近づいて扉を開けようとした所、急に教会の扉が開いたのだ。

 そして、教会の中から沢山のならず者が出てきた。


「おうおう、ここは通行止めだ。帰らないなら死んでもらうぞ」

「へへ、これだけの人数では流石に相手にならないだろう」


 教会に近づいた兵も素早くならず者から距離を取り、ならず者に向けて剣を構えた。

 そして、ニヤニヤとするならず者に向けて、辺境伯様と聖騎士の偉い人が指示を出した。


「ここまでくればとても分かりやすいな。聖騎士、総攻撃開始!」

「「「はっ」」」

「兵は、教会の周りを固めて一人も逃さないように」

「「「はい」」」


 そして、聖騎士がならず者に向かって走り出した。

 兵も陣形を取って、ならず者を逃さない様にしている。

 こうして、遂に教会を巡る攻防が始まりました。

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