散歩の百十七話 パーティルームにご案内
「「「こんにちわ!」」」
「皆いらっしゃい。待っていたわ」
僕達が屋敷に着くと、先代奥様が僕達を出迎えてくれた。
既に商店街の実行委員の面々は屋敷に着いているというので、僕達は先代奥様と侍従の先導で会場となるパーティルームに案内された。
辺境伯様の屋敷には、ダンスやパーティを行う事ができる大きな部屋があるという。
「王都からお客様が訪れたり、周辺の貴族が集まる事もありますのよ。その際にも、パーティルームで皆様をおもてなししております」
先代奥様が話をしてくれたけど、辺境伯ともなると沢山の人との付き合いがあるから本当に大変だなあ。
そんな事を思いながら、僕達はパーティルームに到着します。
「おお、やってきたか。こっちだこっち」
「実行委員長、お待たせしました」
パーティルームは会食が出来るように複数のテーブルが設置されていて、後ろの方の席に商店街の実行委員が座っていた。
僕達も空いてる席に座りつつ、隣の席の実行委員長に声をかけた。
「花見祭りが始まる前はどうなるかと思ったけど、終わってみれば過去最大規模に盛り上がったぞ」
「そうですね。こんなにも沢山の人が集まって、僕もびっくりしました」
「はは、あんちゃんの料理も大きな宣伝効果があったからな」
実行委員長はかなり上機嫌で、僕に話をしてくれた。
教会の横暴な振る舞いもあったから、確かに最初はどうなるかと思ったよ。
と、ここで辺境伯様の屋敷に保護されている子ども達も、勢いよくパーティルームに入ってきた。
お風呂に入ったのか、子ども達からは良い匂いがしていた。
「おお、坊主と嬢ちゃんらもやってきたか。花見祭りは楽しかったか?」
「「「楽しかった!」」」
「そうかそうか、そりゃ何よりだな」
子ども達も空いている席に座っていたけど、実行委員長の問いかけにも笑顔で答えていた。
子ども達は拘束されるという辛い目にあっていたけど、花見祭りを通じて随分と笑顔が戻った様だ。
フランとホルンも笑顔が戻ってきているし、本当に良かった。
「これもシュンと冒険者達のお陰だ。これなら子ども達も大丈夫じゃろう」
「先代様、いらしたのですね」
「おお、子ども達を風呂にいれていたのだよ。子どもは元気が一番じゃ」
先代様もパーティルームに入ってきて、僕達に声をかけてきた。
辺境伯様と先代様が子ども達の親代わりをしてくれている。
何となく先代様も、子ども達と触れ合うのを楽しみにしているようだぞ。
「この人は、こう見えて子どもと触れ合うのが好きなんですよ」
「街でも先代様の子ども好きは有名だぜ。先代様がよく子ども達にお菓子をあげているからな」
「な! ちょっとは秘密を黙っておれ!」
「「「あはは!」」」
先代奥様と実行委員長が先代様の秘密をバラしてしまい、先代様がちょっと焦ると子ども達も笑っていた。
でも何もおかしい事ではないし、皆も少し笑いながら先代様の事を見ていた。
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