散歩の百八話 大急ぎで料理の準備

 早朝練習も終わり、冒険者ギルドでの手続きも終えて花見会場へ。

 

「「「うわあ、凄い人の数だよ!」」」


 仮小屋の周囲には、既に沢山の人が集まっていた。

 シロとフランとホルンも、人の多さにびっくりしている。

 あえて言わせて貰いましょう。

 何じゃこりゃ!


「ハハハ、昨日最後に出したカレーの事で噂が噂を呼んでいたんだ。冒険者ギルドでも上手い飯にありつけると話が広がってな、警備希望の冒険者も沢山いるぞ」


 人が沢山集まっている一番理由を一番知っていそうな実行委員長に話を聞くと、当然の如くだろうと言っていた。

 確かに警備希望の冒険者も沢山いるぞ。

 

「おお、今日は一緒なんだ!」

「おうよ。仕事はきっちりするぞ」

「そうなんだ。シュンお兄ちゃんの料理は、とっても美味しいんだよ!」

「がはは、楽しみにしているぞ。領主様も食べたという料理だというじゃないか」

「むしろ、賄いがどんな味かとっても楽しみだ」


 早速シロが警備希望の冒険者に話をしているが、仕事よりも賄いの方が良いってどういう事でしょうか?

 まあ、シロが平気で話しているのだから、問題ない冒険者なのだろう。

 という声を後ろで聞きながら、僕は早速仕込みを開始します。

 一人暮らしをしていた時に作った料理の量とは全然違うから、大量に作りながら味を整えるしかない。

 幸いにして実行委員長が大量のスパイスや食材を持ってきてくれたので、少し失敗しても大丈夫だろう。

 昨日カレーを作った時に好評だったので、今日も焼きそばソースをカレーに入れていきます。

 

「シュンお兄ちゃん、味見していい?」

「良いよ。煮込んでいる途中だから、まだまだだけどね」

「でも、とっても美味しいよ!」

「おいしー!」

「昨日のカレーよりも美味しいよ」


 味見をねだってきたシロとフランとホルンに小皿を渡したけど、中々良さげな感触だ。

 ご飯も炊いたし、昨日の焼きそばの器を使い回しできるので問題はなし。

 辛味追加の小瓶は、何故か数本用意されていた。

 実行委員長は、この辛味追加の小瓶を商品化するつもりだな。


「お、スライム焼きの準備も終わったのか。もう少ししたら販売開始だな」


 アオとリーフも、準備万端って感じで触手をフリフリとしていた。

 俺は行列になっている花見客を見た。

 客が切れるのが早いか、それとも在庫切れが早いか。

 ある意味デスゲームの始まりです。

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