散歩の百六話 明日の屋台のメニュー変更
実行委員長は、僕に対して更にあるお願いをしてきた。
「あんちゃん、ある材料でいいからそのカレーっていうのを作ってくれ」
「簡単に言いますね。まあ、いいですけど」
どうせ麺などの材料切れで、焼きそばやスライム焼きはできない。
野菜がまだあるし、どうせなので焼きそばソースも使ってみよう。
というか、手持ちの香辛料が少なくなっちゃったな。
「おお、いい匂いがしてきたよ」
「美味しそうだね」
「昨日食べたのと違うね」
香辛料の匂いがしてきたので、シロとフランとホルンが僕の側にやってきた。
子どもも食べられる様に辛さは控え目だけど、野菜もたっぷりだし焼きそばソースのおかげで濃厚な味になっている。
小さな容器に入れて、皆に味見をして貰います。
うーん、辛さは唐辛子と胡椒のパウダーを小さな瓶に入れて代用しよう。
「はい、できましたよ。辛いのが良い人は、この瓶の唐辛子と胡椒をふりかけて見て下さい」
「美味そうな匂いだな」
「俺も試食するぞ」
「追加でパンとかをくれや」
お昼を食べたはずの冒険者がわらわらと集まってきた。
折角なので、パンとご飯も用意してみる。
「「「おいしー!」」」
シロとフランとホルンは、笑顔でカレーを食べていた。
単純だけどフランとホルンには美味しい物でも良いので、もっと笑顔になって貰いたいものだ。
「こりゃうめーな。お代わりが欲しくなるぞ」
「辛さの調節が効くのが良いな」
「俺はもっと辛くても大丈夫だな」
カレーは冒険者にも好評だ。
中にはたっぷりと辛味の小瓶を振りかける人もいた。
試食のカレーの匂いにつられたのか、数人の花見客がこちらの様子を伺っていた。
そして実行委員長がある決断をした。
「よっしゃ。あんちゃん、明日からは焼きそばでなくカレーを作るぞ。パンもご飯も用意しよう。香辛料はうちの商会で仕入れているし、問題ないだろう」
「「「おお!」」」
「えー!」
実行委員長の提案に、冒険者に加えて花見客まで歓声を上げていた。
どうやら、僕の意思とは関係なく明日からカレーを屋台で出すことが決定した様だ。
「因みに明日は焼きそば屋台は休みだ。今日、予想以上に麺が出てしまって生産しないといけないらしいぞ」
「でも、麺ができたら焼きそばを作るのですか?」
「勿論だ。まあ、助っ人を募集する予定だから心配するな」
いやあ、絶対に何かありそうで不安なんですけど。
という事で、今日の花見会場の仕事はへ終了。
皆でギルドに行き、手続きを済ませてから帰ります。
「「「ただいまー」」」
「おお、おかえり。その子が新しい子か。荷物が届いているぞ」
「辺境伯家から届いたんですね。ありがとうございます」
宿に戻ると、店主が荷物を渡してくれた。
夕食もあるけど、一旦部屋に向かいます。
「さて、人数が増えてしまったので、ベッドで寝る順番を変更します」
「「「はーい」」」
最初僕が寝袋で寝ると言ったら全員から止められたので、僕もしくはスーの所に二人と一人で寝る事になった。
とはいえホルンの事もあるので、今日はスーの所にシロとホルンが寝て僕の所にフランが寝る事に決定です。
ホルンの荷物は、ホルン用に購入したマジックバッグと僕とスーで分担して持つ事にします。
花見の対応が終わったら、ホルンにも追加の服と下着を買ってあげないと。
そして夕食も終わって、生活魔法で全員の体を綺麗にして就寝です。
「「「すー、すー」」」
「三人とも直ぐに寝ちゃいましたね」
「今日は一日良く動いて言いたからね」
ベッドに入ったシロとホルン、それにフランはあっという間に寝息を立てていた。
このまま熟睡してくれればと思いながら、僕とスーもベッドに入った。
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