散歩の八十六話 皆でポーション作りその二
ジュージュー。
シャカシャカ。
ジュージュー。
「すみません、こんな感じで良いですか?」
「上等だよ。噂に聞いていたけど、本当に料理が上手なんだね。娘にも料理を教えて欲しいわ」
魔法使いのお姉さんのお母さんの愚痴をひたすら聞きながら、何とか昼食は完成。
作ったのは野菜炒めと焼きそばだ。
簡単に手軽にできるし、人数も多いから丁度いいだろう。
「ねえ、良い臭いがずっとしているけど未だ?」
「今持っていきますよ」
「よっしゃ、あたしらも手伝うよ」
ここで臭いに誘われて冒険者のお姉さんが顔を出してきた。
待ちきれない様子で、次々に料理の盛られたお皿を運んでいく。
「うめー!」
「あんちゃんの料理はいつ食べても旨いなあ」
あ、持っていった側からどんどんと食べている様だ。
僕も片付けをしたら、食べに行こう。
「おかわり!」
「あたいも」
「大盛で頼む」
「……」
シロを先頭に食いしん坊がお皿を差し出してきた。
俺はまだまだ昼食を食べられない事を悟ったのだった。
「すまないね。娘も含めて食いしん坊で」
「まあ、大丈夫ですよ。料理を美味しく食べてくれるのは嬉しいですし」
結局僕は、午後の作業を免除される代わりに昼食のお代わりを作って後片付けをしている。
シャカシャカと料理した後を洗っていくけど、まさか三回目のお代わりをしてくる人もいるとは思わなかったよ。
「花見の実行委員長も言っていたけど、今年は料理でも盛り上がりそうだわ」
「あの、僕は本当は治療要員なんですけど」
「ははは、気にしない事だわ。今年は腕の良い人が多いというし、とっても安心だわ」
花見には治療要員で申し込んだはずなのに、すっかり料理要員となってしまった。
何だか花見の時も、ずっと料理を作っていそうな気がするよ。
因みに昼食で皆やる気をだして、ポーション作りは予定よりも早く終了しました。
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