散歩の四十二話 ランクアップと今後のこと
その後も、僕達は少しずつ依頼をこなしていく。
薬草採取も頑張って沢山採取していった。
頑張った結果が、今日現れた。
今日は薬草採取をして、採った薬草の査定をしてもらった時の事だった。
「はい。今回の依頼を達成した事によって、皆様の冒険者ランクがFに上がりましたよ」
「やったー!」
キチンと依頼をこなしていけば、GランクからFランクに上がるのは難しくない。
それでもストレートで上がるのは少ないという。
更新された冒険者カードを受け取ったシロとアオは、余程嬉しいのかその場でクルクルと回り始めた。
「ふふ、討伐依頼無しでここまでくるとは。流石はシュンだね」
「ギルドマスター、ありがとうございます」
受付にひょっこりと現れたのはギルドマスターだった。
お祝いを言ってくれたのだが、それ以外にも何かあるようだ。
「ちょっと悪いが、来てくれないか? 直ぐに終わる」
「は、はい。分かりました」
「それじゃ、俺らは先に帰るぞ」
メンバーと別れて、僕達はギルドマスターと共に個室に呼ばれた。
僕達がソファーに座ると、ギルドマスターは直ぐに話を始めた。
「時間も限られているので、手短に。あの二人が釈放される事になった」
「という事は、辺境伯様とバクアク伯爵との間で話がついたんですね」
「ああ、罰金の増額をバクアク伯爵がのんだ。事故を起こしても最小限の被害で済んだのと、その後に放ったならずものが警備隊に捕まったので、何もできなくなってしまったのだ」
「策士が策に溺れてしまいましたね」
「策士って程の柄じゃないけどな」
ギルドマスターがクククッと苦笑したけど、街の人に被害が及ばなくなったのはありがたい。
バクアク伯爵にとっては、自滅したとしか言いようがないな。
「二人はいつ頃釈放されますか?」
「早ければ明日だが、恐らく明後日になると思うぞ」
「この事は宿のメンバーにも話をしていいですか?」
「構わないというか、シュンと同じく冒険者ランクが上がったから逆恨みされる危険性がある」
「分かりました。話せる所だけ話すようにします」
あの二人はギルドの受付のお姉さんの胸ぐらを掴んできた位だから、何をしてくるのか本当に分からない。
本当に注意をしないといけない。
スーもシロもアオも僕が顔を向けると、こくんと頷いていた。
「罰金の中から、あの二人がスーから奪ったお金を清算させる。今週末には支払えるはずだ」
「色々とすみません」
「これは領主夫人としての仕事でもあるから、スーも気にするな」
スーにとってもお金が戻ってくるので、これで色々な事が一段落するはずだ。
「そうか。あの二人がとうとう出てくるか」
「絶対に反省しているわけがないし、一緒に初心者講座を受けた俺らが一足早く冒険者ランクが上がったからな」
「当面は警戒をしないといけないな」
宿に戻って簡単に話をすると、皆も直ぐに警戒をする様になった。
それと共に、皆はとある事を思っていた。
あの二人は、絶対に大きな事件を起こすだろうと。
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