散歩の三十五話 教会にて

「すみません、教会に寄っても良いですか?」

「いいよ。というか、僕達は教会に行ったことないや」

「シロもないよ」


 まだ宿に帰るには時間があるので、スーから教会に行かないかと誘われた。

 僕達は教会に行ったことないし、丁度良い機会だと思った。

 街中に教会があるらしく、スーの案内の元歩いていくと住宅街のとある一角にたどり着いた。


「凄いね。豪華な建物だね」

「そうだね……」


 この国の教会はとても豪華な作りだった。

 教会の威厳を示す目的もあるのか、ドーンと大きな建物がそびえ立っていた。

 もっと簡素な作りの建物かと思ったので、正直びっくり。


「こちらが教会の中です」

「うわあ……」

「もっと凄いな……」


 教会の中はもっと凄くて、ステンドグラスに絵が天井や壁面に描いてあり、でっかいパイプオルガンみたいな楽器もあった。

 僕とシロとアオは、教会の豪華さにあんぐりとしていた。

 そういえば、祭壇に置かれている女神みたいな像は天界で会った女性に似ているな。


「ここまで豪華な作りなのは、王都や各地の辺境伯領位のものですよ。普通の領地では、シュンさんが思っている様な建物が殆どです」

「流石にどの教会も豪華だと、信仰よりもお金優先だと思っちゃうよ」


 そんな事をスーと話しつつ、僕とシロも祈りを捧げる。

 アオも触手でお祈りポーズをとっているが、何故かスーの頭の上にいるぞ。

 他にも街の人が僕と一緒に祈りを捧げていた。


「さて、帰りますか。どこか寄っていきますか?」

「市場で美味しいもの!」

「シロは欲望に素直だな……」

「くすくす」


 今日は偉い人がいないのでシスターに心付けも渡したし、皆でこれからどうしようかと話をしていた所だった。


 ヒヒーン!

 ドッシーン。


「キャー、誰か来てー!」

「馬車が事故を起こしたぞ!」

「馬車の下敷きになっている人がいるぞ」


 教会から出ようとした所、馬の鳴き声がしたかと思ったら大きな衝撃音が聞こえてきた。

 更には、教会の外から助けを求める声がする。

 僕達はお互いに顔を見合わせて、直ぐに教会の外に出ていった。

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