散歩の七話 初めての夜営

「今日は、この辺りで野営にしよう」

「はーい」


 日が少しずつ陰ってきたので、今日はここで野営をする事に。

 街道の通行の邪魔にならないように、道の端の草を刈って土を平らにする。

 魔法って本当に便利だな、あっという間に寝る場所の準備ができてしまった。

 テントを建てて寝袋を敷いたら、今度は夕食の支度。

 魔導コンロという便利な物があったので、それを使っての料理だ。

 わざわざ火を起こさなくて良いのは、野営を準備する時にはとても助かるな。

 ある程度の食糧やナイフがアイテムボックスに入っているので、先ほど討伐した獲物を解体しないで済むのはとても助かる。

 流石に僕も解体は無理だな。


「ちょっと早いけど、夕食できたぞ」

「わーい」


 今日は簡単に野菜炒めと焼肉にしてパンで食べる。

 シロもアオも、ニコニコして夕食を食べている。


「今日は簡単なものでごめんな」

「全然大丈夫だよ。美味しいよ。お代わり!」


 シロは育ち盛りだからか、アオと一緒にお代わりもしていた。

 作り過ぎたかなと思ったけど、いっぱい食べてくれたので助かった。

 残った分はパンに挟んで、明日の朝食にしておこう。

 食器や鍋などは、簡単に近くの川で洗ってから洗浄魔法を使った。

 洗剤要らずで、魔法というのはとても便利だ。

 ついでに、みんなの体や服も洗浄魔法を使って綺麗にしておく。

 こういう魔法があったらいいなというのを試してみて実際に使えているので、非常に助かっている。

 どこかで使える魔法の一覧を手に入れたいな。

  

 明日も朝早いので、片付けの後は早めに寝袋に入る事に。

 既に周囲は夜の帳が下りている。

 虫の鳴き声は聞こえるけど、動物の声は聞こえない。

 明かりを消して寝るのだけど、寝袋を二つ用意したのにシロは俺と一緒に寝たい様だ。


「シロ、シュンお兄ちゃんと一緒に寝たいなあ」

「狭くなるけど、大丈夫か?」

「うん、全然平気。ふふ、あったかいな」

 

 夜、何かあってもアオなら直ぐに分かるという。

 何だか今日は色々あって疲れてしまったので、アオにお願いする事にした。

 アオも任せろといった感じで、フルフルと震えていた。


「明日のお昼ごろには街に着く予定だ。朝早いけど、頑張って歩こうな」

「うん。お休み、シュンお兄ちゃん」

「お休み、シロ、アオ」


 こうして異世界に来て一日目が終了。

 一緒に寝るシロの温もりを感じながらも、段々と眠気が襲ってきた。

 明日街に着くらしいが、どんな感じの街なんだろうか?

 そんな事を思いながら、僕はシロと共に眠りについた。

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