千二十四話 入園説明会の始まり

 とりあえず人は揃ったので、入園説明会を始めることになりました。

 僕もリズの隣の席に座って先生の話を聞くのだけど、なんで僕が入園予定者側の席に座っているのか不思議に思っている人もいますね。

 入園試験の時にも色々とやっていたけど、僕は皆さんと同じ入園予定者ですよ。


「皆さん、おはようございます。これから、入園までの流れと入園してからの予定を説明します。皆さんにお渡しした用紙に色々と記載してありますが、大切なことですのでしっかりと話を聞くようにしましょう」

「「「はい」」」


 流石、真面目な人が集まっている四クラスです。

 多分、Eクラスは最初から大変な気がするよ。


「これから四年間の学園生活が始まります。二年間は基礎的な勉強を行い、その後は専門分野に分かれて専門的な教育を行います。様々な校外授業を行い、様々な経験を積むようにしましょう」


 領地経営、官僚、軍人など、色々な専門分野があります。

 貴族当主になる人向けの教育もあるし、結構たくさんのことがあるんだよね。

 僕の場合は卒業後はルーカスお兄様の補佐になるのが確定的だし、リズとエレノアも色々と勉強することになりそうです。

 サンディは、貴族当主の勉強もすることになりそうですね。


「学園には制服がありますので、後ほどサイズ合わせをしてもらいます。学園の規則も用紙に書かれていますが、基本的なことばかりです。人として当たり前の生活を守れば、何も問題はありません」


 僕たちも配られた資料を手にしながら先生の話を聞いていたけど、本当に普通にしていれば本当に問題ない内容でした。

 Eクラスは正直守れない可能性があるけど、こればっかりは僕たちにもどうしようもないもんなあ。

 因みに、制服は男女ごとにサイズを測ります。

 成長したら買い換えることも可能だし、貧しい人用に中古の制服もあります。

 特に貴族は古い制服を取っていない人が多いので、意外と中古だけど質の良いものがあるそうです。

 そして、この後は学園見学なんだけど、僕もびっくりする予想外のことが起きちゃいました。


「冒険者の活動体験を行うことがありますが、事前に冒険者登録を行う必要があります。本日は王都冒険者ギルドの方が出張で来ておりますので、冒険者登録を行なっていない人はこの説明が終わり次第行います。なお、アレクサンダーさん、エリザベスさん、サンディさんの三名はDランク以上で尚且つ講師資格を持っていますので、登録が完了次第説明をお願いします」

「おー! 説明はCランク冒険者のリズにお任せだよ!」


 うん、この場に集まった人が思いっきり騒めいていました。

 冒険者登録することではなく、僕が新人冒険者向け講習の講師資格を持っていることです。

 アレク様って、いったい何者なのって声も聞かれました。

 ちなみに、冒険者体験をすること自体は説明の資料にも書かれているので問題ありません。

 リズとスラちゃんがやる気になっているし、僕は補足すればいいかな。

 その後もごく一般的な説明を行い、説明会は一旦終了しました。

 ということで、一斉に冒険者登録を始めることになりました。

 全体では二割の人が冒険者登録してあって、思ったよりも多いなって印象でした。

 すると、レシステンシアさんが僕に話しかけてきました。


「あ、アレク様、冒険者カードを見せて頂いても宜しいですか?」

「いいですよ、こちらが僕の冒険者カードです」

「ほ、本当にCランク冒険者です。アレク様は、上級冒険者でもあられるんですね……」


 レシステンシアさんは、思わず呆然としながら僕に冒険者カードを返却しました。

 ちなみに、レシステンシアさんは先日冒険者登録を行なっているそうです。

 すると、今度はリズ、エレノア、サンディがレシステンシアさんに自分の冒険者カードを見せていました。


「じゃーん、リズはCランク冒険者なんだよ!」

「エレノアは、まだEランクなの……」

「私は、先日Dランクに上がりました」

「皆様、初級どころか中級以上なんですね。とってもびっくりしました」


 エレノアも初心者ではないと知って、レシステンシアさんは僕たちがどういう冒険者活動を行っていたのかと衝撃を受けていた。

 まあ、王族が冒険者活動しているなんて普通思わないよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る