千十四話 まずはお仕事をしましょう
さっそく視察をやっちゃおうということで、副ギルドマスターのサーラさんに会いに行きましょう。
サキさんはいきなり凄いことに巻き込まれて戸惑っていたけど、リズたちに捕まったらもっと凄いことに巻き込まれるよ。
そんなことを思いつつ、執務室に入りました。
「「失礼します」」
「失礼、します……」
リズとエレノアはサーラさんとは顔見知りだけど、サキさんは初めてなのでおっかなびっくりです。
サーラさんはニコリとして僕たちを迎えてくれたけど、いつもの露出の多い服装から落ち着いた服装に変わっていました。
「あっ、サーラさん、お腹に赤ちゃんがいるんですか?」
「ええ、そうなのよ。二人目が生まれる予定なの」
「「わあ、おめでとうございます!」」
サーラさん、いつの間にか結婚していたんだ。
しかも、二人目が生まれるなんて何だか不思議な感じです。
そんなサーラさんが、サキさんのことについて聞いてきました。
「そちらの可愛らしいお嬢さんはどなたかしら?」
「サキちゃんっていうんだよ。この前の入園試験で、特待生になったんだよ!」
リズが嬉々として説明すると、サキさんは手を振りながらワタワタとしちゃいました。
それでも、サーラさんは学園の特待生がどんな存在なのか既に知っています。
「あら、とても凄い人なのね。これから宜しくね」
「はっ、はい、宜しくお願いします」
サキさんはバッタみたいに何度も頭を下げていたけど、みんなは微笑ましく見ていました。
では、さっそくお仕事をしちゃいましょう。
「恐らくジンさんから話を聞いていると思いますが、衛星都市建設計画以降で冒険者ギルドにまわる仕事はどうですか?」
「非常にたくさんの仕事を頂いております。皆さまの依頼した仕事が呼び水となり、様々な依頼が発生しております。ランク制度をうまく利用し、冒険者に無理のないように配布しています」
国が主に依頼しているのは建設関係だけど、荷運びや護衛に街道の害獣駆除などたくさんの依頼が発生しています。
治療や食事に清掃などの生活に密着した依頼も起きていて、様々な冒険者が活動しています。
他の地域でも建設計画が進んでいるので、冒険者関連の仕事がおおいです。
「今年と来年は二つの都市建設を進めますが、徐々に残りの二つの都市の建設とスラム街の解体を含めた王都再編を行います」
「私たちも、少なくとも十年単位で仕事があるというのはとても助かります。街道整備も進めると聞いておりますので、私たちも全力でご支援します」
軍の基地拡張もあるけど、これは機密情報があるので専門業者が行います。
多くはルーカスお兄様が学園を卒業したら引き継ぐことになるけど、それまでは僕が主体で行っています。
他にも冒険者ギルドの支援体制などを話して、今日のお話は終わりです。
決まったことや要望は、直ぐに通信用魔導具で関係各所に連絡します。
「はわー」
すると、サキさんが感嘆の声を上げていました。
何だろうなと思いつつ、連絡を終えてから話を聞いてみました。
「アレク様は、学園以外にもこんなにお仕事をされているんですね。同じ年なのに、本当に凄いです!」
「リズも、衛星都市の地面を魔法でならしたりしたんだよ。でも、お兄ちゃんは仕事のやり過ぎです」
「アレクお兄ちゃんがお仕事を頑張ると、その分エレノアたちも勉強を頑張らないといけないの。とっても大変なの……」
リズ、エレノア、ここで僕のことをボロボロに言わないでよ。
思わず、サキさんがクスクスと笑っているよ。
「アレク君は、小さい時からとても頭の回転が速かったわ。もちろんすごい魔法使いだけど、一番の武器はその頭脳ね。大人顔負けの判断力を持っているから、学園入園前なのに官僚試験に合格して副宰相になっているのよ」
「私も、アレク様がこんなに凄いと知れて良かったです。これが首席になれる力なんですね」
ティナおばあさまの言葉に、サキさんもとても興奮していました。
どうも、僕の学力は本当に凄いのって疑問に思っていたみたいです。
目標が出来たのか、サキさんはとても良い表情でした。
こうして視察を終えたのだけど、どうやらリズたちは辺境伯領で冒険者活動をするみたいです。
「リズ、ブライトさんたちが帰ってきていたら一緒にやったらどうかな? ミカエルたちは、ルシアさんが同行するならやっても良いよ」
「分かった!」
リズも直ぐに分かってくれたので、これでオッケーです。
すると、スラちゃんがサーラさんの執務室から僕の屋敷にゲートを繋げました。
「す、スライムが空間魔法を……」
「スラちゃんは、とっても凄いスライムなんだよ!」
僕たちは空間魔法使いがたくさんいるけど、やっぱりレアな魔法なんだよね。
呆けているサキさんの手をリズが繋ぎながら、スラちゃんのゲートを潜り抜けていきました。
スラちゃんとドラちゃんも、薬草採取に同行するそうです。
ではでは、僕とティナおばあさまは王城に戻りましょう。
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