千九話 安息日のプリン作り

 怒涛の学園入園試験も終わり、後はクラス分けを待つばかりです。

 そして、今日は安息日なので久々にゆっくりできるはずです。

 なので、部屋でぐたーってベッドに寝転がっていました。

 あー、何もしない休日って最高です。

 プリンも、僕の枕元でぐーすかと寝ています。

 嗚呼、惰眠最高……


 ドタバタドタバタ。

 ガチャ。


「おにーちゃん、プリンがなくなっちゃったよ!」

「「プリン!」」


 いきなりリズ、ミカエル、ブリットが一大事って感じで僕の部屋に入ってきた。

 しかも、お隣の辺境伯家とジンさんのところのちびっ子も集結していました。

 一瞬プリンって聞いて枕元で寝ているプリンを見たけど、どうやらスライムのプリンじゃなくて食べるプリンみたいですね。

 でも、この前たくさん作って冷蔵魔導具の中に入れていたはずだけど。

 そう思ったら、レイカちゃんがとんでもないことを教えてくれた。


「あのね、この前おかーさんたちがたくさんプリンを食べていたよ!」


 なんと、レイナさんだけでなく、カミラさん、ルリアンさん、ナンシーさんも僕の作ったプリンをたくさん食べていたらしいです。

 僕はアイテムボックスから通信用魔導具を取り出して、カミラさんに「冷蔵魔導具に入っていたはずのプリンがありません」と送りました。

 うん、既読スルーですね。

 仕方ないので、僕はベッドから体を起こしました。

 プリンも、僕の頭に乗ってきました。


「アレク君、ごめんなさいね」

「みんな、アレク君の作ったプリンがいいっていうのよ」


 侍従のお姉さんも苦笑しながら言ってきたけど、リズたちも自分で頑張ってプリンをつくらないと。

 もう、僕はプリン職人の域に入ってきたよ。

 愚痴を言っても仕方ないので、さっそくプリンを作り始めました。

 といっても、いつもと同じシンプルなものです。

 みんな小さい頃から僕の作ったプリンを食べているので、この味がいいんだそうです。

 この勢いだとたくさん食べるだろうから、かなりの数を作って冷蔵魔導具で冷やし始めました。


「「ねーねー、プリンは?」」

「ぷりー!」


 すると、いつの間にかルカちゃん、エドちゃん、エリちゃんの王族メンバーが僕の後ろにいました。

 スラちゃんが連れてきたのかなと思ったら、エリちゃんのそばにいるネコちゃんのもふもふな毛並みの中で動いているマジカルラットが手を上げました。

 このマジカルラットって、アリア様が確保した空間魔法が使える子だったはず。

 ということはと思っていたら、応接室にアリア様とエレノアの姿がありました。

 本当にたまたま来たらしいですけど、僕がプリン作りをしていたので声をかけなかったそうです。


「そうそう、大量にプリンを食べた人に一ヶ月間プリン禁止令を出したわ。そうしたら、後で謝りに来ると言っていたわよ」


 あー、僕が何故プリンを大量に作っているのか、誰かがアリア様に説明したんだ。

 というか、多分たくさんの子どもたちですね。

 食い意地の張った大人たちには、十分に反省してもらいましょう。

 そして、昼食前にプリン作りの第二陣を終えたけど、これでも二週間持たないかも……

 そんな思いでいたら、今度は食堂でお鍋の準備をしていました。

 夏なので、しゃぶしゃぶにするみたいです。

 暑いのに、みんなお鍋大好きだよね。

 こうして、今日の僕のプリン作りは終わったかと思ったら、午後もプリン作りを続けることに。

 午前中作ったプリンの半分が、ちびっ子たちに一気に食べられちゃったからです。

 しかも、王城分も欲しいとアリア様からのリクエストもありました。

 うん、ゆっくりしようとした一日だったけど、一日中プリン作りで終わっちゃいました。

 そして、夕方になってレイナさんたちが高価な菓子折りを持って謝りにきました。

 僕のプリンはそこまでの価値ではないと苦笑いしつつ、プリンはジンさんに持って帰ってもらいました。

 暫くは、プリンはジンさんの管理下に入りそうですね。

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