九百八十六話 ルーカスお兄様たちの冒険者活動体験日
そして、ルーカスお兄様たちのクラスが冒険者活動の体験をする日になった。
王都の冒険者ギルドで大体どんなことをするかの説明を受けているので、いきなり班分けして活動することになっている。
因みに、王都の冒険者ギルドでクラスメイト全員冒険者登録を済ませている。
ルーカスお兄様の冒険者ランクが意外とよくて、多くのクラスメイトが驚いていたという。
先ずはいうことで、辺境伯様の屋敷に集まって辺境伯様が簡単に話をするという。
二階の広間に、学園生と引率の先生が集まった。
「ようこそ、ホーエンハイム辺境伯領へ。今日は冒険者活動を体験するということだが、冒険者に限らず多くの人々によって領内が支えられている。本日見て感じたことを、これからの経験に生かして欲しい」
「「「はい!」」」
辺境伯様の挨拶後に、冒険者ギルドに歩いて移動します。
でも、今日一緒に行くと張り切っているものがいました。
先ずは、この子たちがやってきました。
「「「ルーカスお兄ちゃん、アイビーお姉ちゃん!」」」
広間の入り口で、ミカエルたちが待っていました。
既に、クモさんとかも連れて冒険者服に着替えて準備万端です。
今日は薬草採取組と一緒について行くらしく、ルカちゃんとエドちゃん、それにメイちゃんとリラちゃんも来ていました。
そして、屋敷の外ではポニさんたちとともにこの子も待っていました。
「グルル!」
「ひ、飛竜だ!」
ドラちゃんも、今日はみんなについて行く気満々です。
でも、何人かの男子生徒は悲鳴を上げています。
女子生徒は意外と平然としていますね。
「大丈夫だよ! ドラちゃん怖くないよ!」
「全然平気だよ!」
「わあ、本当に大人しいわ」
「へえ、ウロコってこんな感触なのね」
ミカエルたちに誘われて、女子生徒はドラちゃんの体を興味深そうにペタペタと触っていました。
そんな女子生徒を遠巻きから男子生徒が恐る恐る見ていて、何だか面白い光景ですね。
ジンさんたちも準備できたので、全員で冒険者ギルドに移動します。
すると、商店街の人たちが僕たちに声をかけてきました。
「あら、今日はたくさんのお兄ちゃんとお姉ちゃんが一緒なのね」
「「「そーだよ!」」」
ミカエルたちは、おばちゃんに話しかけられてとってもご機嫌です。
ルーカスお兄様にも声をかける人たちもいて、クラスメイトが不思議そうな表情をしていました。
「私が小さいときから、ここの人たちと知り合っている。だから、成長過程も良く見ているんだ」
「私が初めてこの町に来た時も、とても良くしてくれましたわ」
「「「はあ……」」」
次期国王陛下に気安く話しかけるなんてって思っているのかもしれないけど、二人とも特に気にしていません。
でも、このぐらいで驚いていると冒険者ギルドに行ったらもっと驚くんじゃないかな。
そんなことを思いながら、冒険者ギルドに到着。
すると、多くの冒険者が僕たちを待っていました。
「「「きたよー!」」」
「おお、待っていたぞ」
冒険者が、ニコニコしながら挨拶したミカエルたちの頭を撫でていた。
このくらいは、小さい子どもを可愛がる冒険者って印象だ。
その冒険者が、ルーカスお兄様にも話しかけた。
「おお、ルーカス久しぶりだな。今日はお仲間がたくさんだな」
「クラスメイトに、色々な経験をしてもらおうと思っています」
「そうだってな。まあ、ルーカスは既に色々な経験をしているから問題ないと思うが、他はまだまだ経験不足だ」
冒険者がルーカスお兄様を呼び捨てで仲良く話しているのを見て、大半のクラスメイトは度肝を抜かれていた。
アイビー様なんかは、全然気にしなかったけどね。
ではでは、ここからは班分けを行います。
「本日は、薬草採取、空き家の清掃、荷物運び、ポーション作りの四つに分かれます。事前に班分けしてあると思いますが、それぞれに経験のある冒険者がつきます。薬草採取では、周囲の警備も経験してもらいますので、警備担当は武器も用意して下さい」
僕たちは、学園生の護衛兼教える係りです。
特に、リズたちとミカエルたちは薬草採取を教えると張り切っていました。
僕は、町に残って残りの三つを順番に回ります。
ジンさんたちは、空き家の清掃と荷物運びに立ち会ってくれます。
では、さっそく手続きをしてスタートです。
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