九百八十一話 害獣駆除開始
翌朝、なんと屋敷に行くとたくさんの冒険者が集まっていました。
冒険者ギルドに、国からの依頼を掲示した効果があったみたいです。
しかも、腕に自信があれば人数制限もありません。
「地元のことなら俺らに任せな。林業やっていた森も、薬草採取する森も知っているぞ」
「確かに、ここ数年手つかずだったもんな。数日かけて、害獣駆除した方が良いだろう」
「どれが珍しい薬草なのか、俺たちも分かるぞ。サンプルを採った方が良いだろうな」
僕たちが色々と話を聞いていたのもあり、自分たちが地元を良くすると冒険者が動いてくれました。
兵も同じで、自分たちが仕えている男爵領を良くするぞと思っていました。
せっかくなので、僕たちも二手に別れて動くのですが、残念ながら僕は屋敷に残ります。
その代わり、リズたちにはティナおばあさまが付き添ってくれます。
教会の奉仕作業兼話を聞くミカエルたちには、研修を兼ねて新人近衛騎士がつくそうです。
ノエルさんが見てくれているから、こちらも大丈夫ですね。
ルーカスお兄様たちは学園なので、午後から来てくれます。
「なんとか、財務監査も形になってきましたね」
「あの当主が適当につけた帳簿対応が終わったからな。これで、ようやく道筋がついたって感じだな」
カーセント公爵と話をしていたけど、ようやく数年分の帳簿確認が終わりました。
カノープス男爵夫人が嫁いでからの分はもう大丈夫なので、赤ちゃんの面倒をみるのもカノープス男爵夫人に戻しました。
サギー伯爵も自領の仕事があるので、エマさんとオリビアさん共々領地に戻っています。
大変だったけど、貴重な体験をしたと言っていました。
今回の経験を、今後のサギー伯爵領の経営に生かしてもらいたいです。
「あと、学園側がこの領地に興味を持ったみたいです。どうやって領地を発展させるかという、良い課題になるって言っていました」
「そこは、学園担当のアレク君の出番だろう。実際に統治を行うのはカノープス男爵夫人であって、参考意見にしておけば良いだろう」
カーセント公爵の言う通り、何も全てを実行する必要はない。
それに、実際にはどのくらいの予算が残るかがポイントなんだよね。
林業と珍しい薬草採取は村の人だけでもできる案件だから置いといて、もっと人が集まるような案件も作らないと駄目だよね。
でも、いきなり人を集めるのは無理だから、地道に少しずつやっていくしかなさそうです。
こんな感じで、午前中のお仕事が終わりました。
ジンさんたちだけでなく、ミカエルたちも屋敷に戻ってきました。
すると、こんなことを提案してきました。
「せっかく冒険者もたくさんいるし俺らも人数が多いから、屋敷の庭で炊き出ししたらどうかって話が出たぞ。もちろん、この村の作物を使ってだがな」
うん、それはとてもいい提案です。
カーセント公爵も、問題ないって言ってくれました。
そして、破壊王のお二人にも既にある指令が言い渡されているみたいです。
「「「赤ちゃんと遊ぶ!」」」
「ということで、残念ながら娘の面倒を見ないといけなくなったのよ」
「人様の赤ちゃんと遊ぶから、大人の目が必要なの」
ここは、ミカエルのグッジョブと言いましょう。
カノープス男爵夫人も手伝うそうなので、さっそく昼食の準備をしないと。
スラちゃんがバーベキューの道具をたくさん持っているので、さっそくアイテムボックスから取り出していました。
机と椅子も、僕のアイテムボックスから取り出します。
そして、ひみつ道具を用意しました。
「ジンさん、バザール領特産のソースです」
「おっ、これがあれば直ぐに美味い料理ができるな」
お肉や野菜を漬けて焼くだけで、あっという間に美味しい料理に早変わりします。
お肉や野菜を切って、ソースに漬けて焼きます。
辺り一面に、とても良い匂いが広がりました。
ではでは、さっそく冒険者に食べてもらいましょう。
「な、なんだこりゃ! ソースに漬けて焼いただけなのに、とんでもなく美味いぞ!」
「これが、俺らの村で採れた肉や野菜だなんて信じられない」
「これなら、食もどんどんと進むぞ」
冒険者だけでなく、兵にも大好評です。
うーん、バザール領のソース恐るべし。
僕たちにとってはいつもの味だけど、バーベキューってのがより一層美味しくなっているんだよね。
「「「おいしー!」」」
「ふふ、元気ね。息子もいずれはこうなるのかしら」
元気よくご飯を食べるミカエルたちを、カノープス男爵夫人が目を細めて見ていました。
赤ちゃんはまだ生後半年だけど、直ぐに元気よく動き始めるもんね。
それに、こうして楽しく料理を囲むことが今までなかったらしく、とても気持ちが良いと言っていました。
用意した料理はあっという間に無くなり、みんなお腹いっぱいです。
これなら、午後も元気よく活動できますね。
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