九百七十九話 カノープス男爵領を調査その三
「「「ただいまー!」」」
昼食前には、教会で奉仕活動をしていたリスたちも屋敷に戻ってきた。
小さな村なので、これだけの治癒師がいればあっという間に治療は終わります。
そして、何故か疲れ果てていたジンさんがあることをポロリと零した。
「ったく、あの二人また炊き出しを作ると張り切っていやがったよ……」
うん、お疲れ様です。
破壊王のデス料理を全力で止めていたんだ。
炊き出しするほどではなかったのが幸いだったので、破壊王のお二人も素直に納得してくれたらしい。
危うく、村人が全滅するところだったよ。
ジンさんが疲れているのも、とっても良くわかります。
昼食時に、リスたちが治療しつつ集めた情報を提出していました。
と言っても、書いてある内容は昨日とほぼ変わりありません。
領主に対する不満ばかり書いてありました。
その中に、こんな内容の記載が書いてありました。
「えーっとなになに? ケイマン男爵領とカノープス男爵領を結ぶ街道で、魔物が発生しているポイントがある?」
「そういえば、確か一箇所森があったな。じゃあ、午後はそこで害獣駆除と行くか」
「「「行くー!」」」
ジンさんたちとリズたちがその場所に行くと言ったので、ミカエルたちも元気よく手を上げていた。
でも、実力的に大丈夫でも流石に無理はさせられません。
そこで、ミカエルたちにはある指令が言い渡されました。
「ミカエルたちで、赤ちゃんを守ってあげるんだよ」
「おお、頑張るよ!」
「「「頑張る!」」」
どちらかというと赤ちゃんと遊んでって意味合いだけど、ミカエルたちもやることを与えられて元気いっぱいです。
でも、流石に子どもたちだけでは危ないので、サギー伯爵に頼んでエマさんとオリビアさんにもきてもらうことになりました。
更に、別の通信が僕の通信用魔導具に入りました。
「あっ、ルーカスお兄様だ。将来の勉強にもなるので、アイビー様とルーシーお姉様も一緒にくるみたいです」
今日学園が午前中で終わるそうなので、領地復興をするにはどうすれば良いかっていう勉強を行うみたいです。
ということで、サギー伯爵領と王城からみんなを呼ぶと、保護者としてティナおばあ様もやってきました。
スラちゃんはジンさんと一緒に行動するみたいなので、ミカエルのところにはプリンが付いています。
レイカちゃんの従魔のクモさんたちもいるから、屋敷内で何かあっても大丈夫ですね。
僕も、ベビーシッターから戻ってルーカスお兄様たちと一緒に財務監査の様子を見守っていきます。
「うーん、確かにこの帳簿じゃ全然分からないね」
「仕事がいいかげんですわ!」
あのカノープス男爵がつけた帳簿をルーカスお兄様にも見てもらったけど、アイビー様なんか滅茶苦茶な仕事に激怒しています。
ルーシーお姉様も難しい表情をしているし、ティナおばあ様も思わず苦笑するしかできない。
財務の専門家でも苦労するレベルだから、こればっかりは仕方ないだろう。
「国が代理当主を認めていることを考えると、恐らく爵位の取り上げはないわ。でも、相当額の罰金を言い渡されるはずよ」
「それは、私も実感しております。でも、この状況で復興しようにも中々難しいのでは……」
ティナおばあ様の話に、ルーカスお兄様も考え込んでしまうほどの状況です。
何かいい資源はないかなと、カノープス男爵夫人に聞いてみた。
「うーん、そうですね。うーん……」
駄目だこりゃ、カノープス男爵夫人も考え込んでしまった。
うーん、これはまたもや人海戦術で話を聞くしかないですね。
「「「赤ちゃん、寝たよ!」」」
ちょうどいいところにミカエルたちがやってきたので、屋敷の使用人に色々と話を聞いて貰いましょう。
既に一回やっているお仕事なので、ミカエルたちは自分たちのマジックバッグからメモ帳とペンを取り出しました。
ルーシーお姉様も一緒に付いていてくれるみたいだし、屋敷内で動くから大丈夫ですね。
僕たちは、財務監査を引き続き見学します。
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