九百七十二話 例の男爵家の評判を集める事に
もう少し例の男爵家の情報を集めることになったので、ケイマン男爵領に行ってケイマン男爵から話を聞くことにしました。
財務調査官とジンさんと一緒に、その日の午後現地に向かいました。
「引きこもり体質の貴族で、周囲と積極的に関わることはありません。ただ、プライドだけは高くて、なにか用事があっても『お前らがこっちに来い』って言い張っています」
ケイマン男爵が悩みながら話してくれたけど、この辺は既に王城で聞いた内容と同じです。
面倒くさい貴族だと再認識することになっただけです。
町というか、村みたいなところに屋敷が建っているらしいです。
王国創設以来の貴族なのに、長年開発をしていないに等しいのでは。
念の為に、この地域を統括するサギー伯爵家に向かいます。
「この前結婚式の招待状を送ったら、『当主自ら届けに来い』って返答があったわ。もちろん、結婚式当日には来ておらんがのう」
おおう、先々代夫人がブチギレしているよ。
ここまで怒るなんて、凄いことだよ。
サギー伯爵はもちろん、エマさんとオリビアさんもちょっと戸惑っていますね。
「うーん、アレク相手が何をしてくるか分からないから、軍勢を引き連れて行ったほうが良いだろう」
「僕もそう思いました。爵位が上ならまともな対応すると思ったのですけど、そうではなさそうですし喧嘩腰ですね」
「あと、スラちゃんとプリンはともかくとしてリズたちを連れて行くのは不味いだろう。レイナたちも、喧嘩腰になる気がするなあ……」
僕もジンさんも、現地に向かう人選に悩むほどだった。
一度王城に帰って、陛下と相談することにした。
「たまにこういう頑固な貴族は存在するが、今回は特別頑固そうだな。副宰相のカーセント公爵を、アレクとジンたちとともに同行させよう。軍勢も五十人いれば足りるはずだ、余の手紙とともに一週間後に調査に向かうと通告する」
陛下も、ある意味なすすべなしって反応です。
これだけの人がいれば、何かあっても大丈夫でしょう。
ということで、今回参加しない人に事情を説明します。
「えー! リズも一緒に行って悪い人をやっつけるよ!」
「そうよ、何かあったらどういう立場なのか分からせてあげないとならないわ」
「うん、お前らの反応から連れて行くのは難しいぞ。何かあったら呼ぶから、準備だけしておけ」
リズとレイナさんの返答に、ジンさんも少し呆れた表情を見せていました。
とにかく、リズとレイナさんたちは何かあった時の為に王城に待機してもらいます。
でも、何かあったらもっと偉い人も動く気がするなあ。
既に陛下の手紙と財務調査の通告書は発送したので、後は一週間後を待つばかりです。
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