九百六十話 衛星都市建設現場で作業を始めます
翌朝、とても気合いの入ったリズたちとともに王城に行きます。
冒険者服に着替えていて、やる気満々ですね。
「「「ついて行くー!」」」
ミカエルたちも、僕たちについていくと言っています。
しかも、辺境伯家の双子ちゃんとレイカちゃんたちも一緒に行くと言っています。
ルシアさんも一緒だから大丈夫だと思ったのですが、ミカエルたちの選択はある意味失敗でした。
「「「おはよーございます!」」」
「あら、元気な挨拶ね。じゃあ、ルカとかも勉強するからそれが終わってから一緒に行きましょうね」
「「「えー!」」」
哀れ、出迎えてくれたアリア様によってミカエルたちは勉強部屋にドナドナされていきました。
ミカエルたちはまだ小さいのだから、勉強が優先ですね。
ちらっと僕の方を見て助けてと目で訴えていたけど、アリア様がニコリとしているので僕たちには絶対に無理です。
仕方ないねと、レイナさんたちもミカエルたちの後をついていきました。
一時間もやれば終わりだと思うから、ここは頑張ってもらいましょう。
ということで、僕たちは閣僚と職員とともに現地に向かいます。
「まずは、適当な広さの土地をならしてくれ。軍が来たら、正確な測量を行う」
軍務卿から指示を受けたので、僕とリズ、それとスラちゃんとプリンで分かれて魔力を溜め始めました。
シュイン、シュイン、シュイン、シュイン。
「な、なんという魔法陣の数なのか。これが、かの有名な双翼の天使様の魔法なのか」
そういえば、財務卿は僕たちの全力の魔法を見るのは初めてだっけ。
大量の魔法陣を見てビックリしているけど、何故か他の閣僚はこのくらいなら当たり前だとドヤ顔していた。
何で僕たちだけでなく閣僚がドヤ顔しているのかなと思わず苦笑したけど、その間に十分な魔力が溜まりました。
「軍務卿、僕もスラちゃんもオッケーです」
「よし、ではやってくれ」
ではでは、まずは適当な範囲の土地をならしましょう。
町と軍の施設の両方の土地を作るイメージでっと。
シュイン、シュイーン!
ズゴゴゴゴゴ。
良い感じに土が平らになっていくのを、多くの人が満足そうに見つめていました。
財務卿と護衛の兵は、目の前で起きていることが理解できずにぽかーんとしていますね。
僕たちとスラちゃんは、良い感じに土をならし終えました。
「ふう、これで終わりです。予定の土地より広さよりも、少し広めになっています。地面の硬さも、辺境伯領で作っている町と同じにしています」
「少し広い分なら全く問題ない。地面の硬さもこのくらいで良いだろう。では、測量部隊が到着するまで待つとするか」
内務卿も問題ないと言っているので、ホッと一安心です。
軍の到着まであと一時間はかかるので、僕はアイテムボックスからこの前購入した家を取り出しました。
家具や魔導具なども設置したので、いつでも住めるようにしています。
目の前に突然家が現れたので、またもや財務卿と護衛の兵がぽかーんとしちゃいました。
「では、中で休もう。皆も入ってくれ」
何で宰相が先導するのか分からないけど、僕たちも家の中に入っていきます。
お菓子を出してお茶を淹れると、閣僚とリズたちは遠慮なく食べ始めました。
僕もちょっと疲れたから、甘いものを食べようと。
「この土地をならすだけで、普通の魔法使いを何人雇えばいいのか。しかも、一日では終わる範囲ではないです」
「まあ、このくらいならアレク君なら楽勝だろう。我々としては、予算がかなり浮いたと思えばいい」
こういう基礎工事は、とても大変だと財務卿が興奮気味に話していました。
どのくらいの予算が浮いたのか見当もつかないけど、内務卿もとても満足そうにしています。
「測量は、直ぐには終わらないですよね?」
「範囲が広いから、数日はかかるだろう。こればかりは人手で行わないとならない。しかし、事前に土地が平らになっているから、作業はやりやすいだろう」
僕は紅茶を飲みながら軍務卿と話をしているけど、目安の杭が打たれるまでは僕たちの作業はお休みです。
そう思っていたけど、農務卿がリズにあることを提案していた。
「リズちゃん、例えば畑を作るのは可能か?」
「できるよ! この前、ルーカスお兄ちゃんの依頼で、畑を再生させていたよ。ドラちゃんが」
「それば上々だ。なら、少し先の領地の農地拡張計画も進めよう。ちょうど昨日申請が来たんだ」
この流れだと、明日も全力で土地を耕すことになりそうです。
ドラちゃんは辺境伯領の町作りと村の拡張で忙しいので、多分僕とスラちゃんでやることになりそうですね。
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