九百四十六話 ルーカスお兄様からの相談

 昼食後、僕たちは再び町の建設現場に向かいました。

 そして、王城にゲートを繋ぐと予定よりもたくさんやってきました。


「「「わーい」」」

「ほらほら、遠くにいかないのよ」

「お家の周りで遊ぶのよ」

「「「はーい」」」


 何と王妃様とアリア様、それにルカちゃんエドちゃんたちも来ています。

 なにもない土の平地なので、ミカエルたちも混じって追いかけっこを始めました。

 思いっきり走ることができるので、とっても楽しそうです。


「しかし、こんなに広い土地を一瞬で平らにするとは。アレク君の魔法は、相変わらずもの凄いなあ」

「本当ですな。この宿舎といい、予想以上のものだぞ」


 学園がまだお休みなので、ルーカスお兄様も現場を見に来ました。

 宰相も、周囲を見回してとても驚いていた。

 内務卿は辺境伯様と計画の進捗について話をしていたけど、こちらも予想より早い進捗に驚いていた。


「暫くは測量を行いますが、平行して資材の準備を行います。側溝は用意しますが、土を固めにしてありますので街道はこのままにしております」

「王都でも、石畳の道は少ない。ついでだから、計画を進めるとするか」


 辺境伯様からの報告を聞いた内務卿が、何だか不吉な事を話していた。

 その石畳計画には、絶対に僕が使われそうです。

 だって、二人がチラチラと僕のことを見ているんだもん。

 そして、辺境伯様が僕とスラちゃんを呼び寄せた。


「仮に、周囲が森だった場合はどのくらいの時間がかかりそうか?」

「うーん、そうですね。余裕を持って、午前中木を切ってアイテムボックスにしまって、午後地面の整理でしょうか」

「そ、そうか……」


 スラちゃんもそのくらいだと、ふるふると同意していました。

 辺境伯様は、何だか微妙な表情に変わったけど。

 内務卿も、辺境伯様の横で激しく同意していました。


「とりあえず、何が起こったかは分かった。ノエルなら、これはできるか?」

「あの、私でも流石にこのレベルの土魔法は無理なんですけど……」


 宰相に水を向けられたノエルさんだったが、両手を前に出して激しく否定していました。

 合体魔法を使ったけど、カミラさん辺りだったら普通にできると思います。

 こうして何が起きたか分かったので、宰相と内務卿は一足先に帰って行きました。

 そして、ルーカスお兄様は残っていったのですけど、畑予定地を見ていました。


「アレク、畑はどうするつもりなんだ?」

「土を耕しただけでは駄目なので、一度耕したら腐葉土と馬糞とかを入れてもう一回耕さないと駄目だと」

「そうだよな。畑の土が痩せてしまっては、何も意味ないよな」


 おや?

 ルーカスお兄様が何だか悩んでいるけど、何かあったのかな?

 すると、アイビー様が理由を教えてくれました。


「知り合いの貴族家の畑の収穫量が落ちているから、どうすれば良いかと相談を受けていたんです」

「そういう訳だったんですね。だったら、試してみる価値はありそうです。でも、馬糞はその領地のものでどうにかなりそうですけど、腐葉土は森から集めないと駄目ですね」

「だったら、集めてしまえばいいですわね」


 すると、アイビー様はミカエルたちを呼び寄せました。

 僕にも、なんとなく何をするのか分かりました。


「「「なーに?」」」

「今度ね、ある領地の畑の再生を行うの。みんなに、森にある栄養たっぷりの土をとってもらおうかなって思っているのよ」

「「「いっぱい集めるよ!」」」


 どっちにしても、町作りの畑でも使うしたくさん集めても問題ありません。

 薬草採取をする際に、一緒に集めてしまえば良さそうですね。

 全ての畑を手伝うわけではなく、先ずは一つ行えば良いみたいです。


「あと、畑の土を耕す魔導具とかもあれば良いですね」

「実は研究していて、そろそろ実用化する。ついでにテストする予定だ」


 おお、流石はアカデミーです。

 ルーカスお兄様も、対策済みって事ですね。

 辺境伯様だけでなく、王妃様やアリア様もどんどんとやっちゃいなってオッケーをくれました。

 ということで、町作りと平行して畑作りもすることになりました。

 宰相と内務卿に連絡すると、商務卿からもテストしてくれと連絡がありました。

 書類作業はお任せできるので、ちょうど良いタイミングなのかもしれませんね。

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