九百四十一話 新しい年の始まり

「新年、おめでとう」

「「「おめでとー!」」」


 新しい年になり、僕たちは辺境伯家に集まりました。

 辺境伯様の挨拶で、僕たちもジュースの入ったグラスを手にして挨拶します。


「今年はとにかく賑やかな年になりそうだな。ステラとオリバーだけでなく、ジンのところも王家のルカリオ殿下とエドガー殿下も五歳になる。大変だけど嬉しいことだな」

「ふふ、そうね。みんな元気にすくすくと育っていて、私もとっても嬉しいわ」


 僕とリズは十一歳で、ミカエルも七歳になります。

 ミカエルも随分とお兄ちゃんになって、ブリットとともに小さい子の面倒をよく見ています。

 そのちびっ子軍団の中心メンバーが、今年五歳を迎えます。

 辺境伯夫妻は、もりもりと朝食を食べる子どもたちを見て目を細めていました。


「あっ、そういえばリルムちゃんの弟のアンドリューちゃんも五歳になるよね。ケンちゃんとレオンちゃんは、まだ三歳だけど」


 そっか、帝国のケイリさんの息子のアンドリューちゃんも年末に生まれたから今年五歳になるんだ。

 そう考えると、今年五歳になる子は本当に多いんだね。

 辺境伯家で朝食を食べ終えたら、みんなで王家に行って挨拶をしてきます。

 今日は、辺境伯様も一緒に来るそうです。


「皆さま、新年おめでとうございます」

「おめでとうございます!」

「うむ、おめでとう」


 応接室にみんな集まって、王族の方々に挨拶をします。

 王家も勢揃いしていて、挨拶が終わると特にちびっ子軍団はキャッキャしていますね。


「今年は、特に子どもたちに関わるイベントが忙しくなりそうだ。楽しい忙しさになるなら、大歓迎だ」

「そうですわね。ルカもエドも五歳になるし、辺境伯家もジンのところも五歳になるわ。王都での五歳の祝いは、かなり盛り上がるでしょうね」

「五歳になる貴族の子どもがとても多いらしいし、パーティーも何があるか気をつけないとならないわね」


 うん、陛下夫妻がいうのも分かります。

 というのも、僕たちの時と同じくルカちゃんとエドちゃんも縁を結べないかと貴族がこぞって子作りに励んだそうです。

 しかも、王妃様とアリア様が同時に妊娠したのもあって、今回は上級貴族下級貴族関係なくだという。

 去年の二倍の人数の子どもを相手にしないとならないので、パーティーもとても大変です。


「えーっとね、こっちの方が美味しいよ」

「これも美味しいよ」


 でも、当の五歳になる面々は僕たちの苦悩を気にせずに仲良くお菓子を選びあっていました。

 じゃあ、少し落ち着いたらさっそく帝国に向かいましょう。

 大人は、ティナおばあさまとジンさんがついていきます。

 というのも、陛下と辺境伯様を含めてさっそく話し合いがあるそうです。

 新年早々大変だねと思いながら、僕は帝国に向けてゲートを繋ぎました。


「リズちゃん、エレノアちゃん!」

「「リルムちゃん!」」


 帝国に着くと、仲良し三人が直ぐに抱きついていました。

 リルムも、すっかりお姉ちゃんって感じになっています。

 そんなリルムが、ジンさんを見て一言。


「わあ、また子どもだらけになっているよ」

「そうなんだよ。助けてくれ……」


 うん、ミカエルとブリット以外のちびっ子軍団がみんなジンさんにひっついていました。

 相変わらず、ジンさんは子どもホイホイですね。

 そんな僕たちは、皇城の応接室に案内されました。

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