九百三十一話 結婚式サポートの打ち合わせ

 ということで、さっそくその貴族家に行って打ち合わせをします。

 結婚式当日が一週間後で日がないのもあり、仕事終わりにその貴族家に向かいました。

 幸いにしてサギー伯爵領から近い領地らしく、一回スラちゃんが飛行魔法で現地に行って僕たちをゲートで迎えました。


「「「こんばんは」」」

「皆さん、お待ちしておりました」


 屋敷に着くと、直ぐにこの前話をした同級生が出迎えてくれました。

 同級生は、前乗りして色々準備を手伝っているそうです。

 直ぐに応接室に案内されたけど、両親と旦那さんそれに同級生のお姉さんは屋敷を訪れた面々を見て驚いていた。


「お、おい、エレノア王女殿下とティナ様ではないか。それに、副宰相のアレクサンダー様もおられるぞ」

「そ、双翼の天使様と名高いエリザベス様もおられる。い、いったいどうやったら、こんなにも凄い方に頼むことができるのかしら」

「そ、そんな恐れ多い……」

「あわわ、来賓よりももの凄い方が来ちゃったよ……」


 今日はちびっ子軍団は不在で、エレノアとティナおばあさまが付いてきました。

 面白そうだと陛下もついてこようとしたけど、あえなく王妃様とアリア様に阻止されてしまいました。

 でも、地方の貴族にとって王族が来るのは凄いことらしいです。


「僕たちは冒険者として依頼を受けましたので、そこまでお気になさらずに。では、さっそく打ち合わせを始めましょう」

「は、はあ……」


 父親の領主は未だに理解が追いついていないみたいだけど、時間は限られています。

 ではでは、さっさと始めましょう。


「今回は男爵同士の結婚式となります。息子の同級生が集まるそうですが、参加者は少ない予定です。町の教会で結婚式を挙げた後、屋敷で簡単な披露宴を行う予定です」

「そうなると、教会での司会はお任せして、フラワーボーイとフラワーガールも行いましょう。明日、ミカエルたちに花びらを集めてもらいましょう。披露宴の司会は僕がして、料理を運んだりはみんなでやろうね」

「ブーケがなかったら、リズが作ってあげるよ!」


 規模が違うだけで、やることはサギー伯爵家の結婚式と変わりなかった。

 これなら、特に問題なくできそうです。

 ちなみに、この地を統括する立場として、サギー伯爵夫妻は参列するそうです。

 ここで、ちょっとした問題を父親がしてきました。


「実はちょっとした問題がありまして、司祭様が高齢で歳のために腰を痛めておりまして。膝も悪いので寝たきりなのです」


 おお、これは大変です。

 と思ったら、スラちゃんとリズが行ってくると言って屋敷を出て行った。

 多分治療すれば良くなるかなと思っていたけど、直ぐに戻ってきた一人と一匹の表情は良くなかった。


「お兄ちゃん、司祭様無理をして風邪もひいていたよ。治療したけど、安静にしないと駄目なの」


 スラちゃんもどよーんとした表情だったので、リズの言ったことは間違いなさそうだ。

 うーん、どうしようか。

 サギー伯爵家に連絡したら、サギー伯爵家の司祭様は地方巡回の予定が入っているという。

 うーん、仕方ない。

 僕は、駄目元で王城に連絡を取った。

 すると、良い答えが返ってきました。


「ちょうどその日は、教皇国からカレン様がやってくるそうです。神父役を引き受けてくれるそうです」

「ええ! カレン様っていうことは、あの聖女様ですか!」

「はわわわ、凄い人がくるよ……」


 同級生のお姉さんは、もうキャパシティがいっぱいです。

 同級生は、この前の結婚式で偉い人に会っていたから耐性が出来ていて、慌てている面々を見て思わず苦笑していた。

 でも、まだまだ追撃があるんだよなあ。


「あと、ルーカスお兄様も一緒にくるそうですけど、警備などは気にしなくて良いそうです。料理も、普通に提供してくれれば良いそうです」

「えっ! ルーカス殿下って、確か王太子殿下……」


 もう、旦那さんもキャパシティを超えちゃいました。

 他の王家も一緒に行きたいと言っているので、もっと来賓は増えそうです。

 とりあえず、話はこれで終わりですね。


「では、当日朝にみんなで来ます。一緒にサギー伯爵夫妻も連れてきます」

「はっ、はい。よろしくお願いします……」


 うん、もう父親もガチガチになっているけど、全然大丈夫な気がするよ。

 こうして、冒険者として結婚式をサポートする任務が開始しました。

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