九百二十九話 賑やかな披露宴
ここで、大きなウェディングケーキが運ばれてきた。
あまり時間をかけても仕方ないので、手際よく進めましょう。
「見事なウェディングケーキが運ばれてきましたね。それでは、新郎新婦はウェディングケーキの前に進みください」
キースさんを真ん中にして、エマさんとオリビアさんが挟み込むように並びます。
三人が包丁を手にして、スタンバイオッケーです。
「それでは、ケーキ入刀です」
「「「わあ!」」」
大きな歓声が上がる中、三人の夫婦になってからの初仕事のケーキ入刀が無事に終わりました。
三人とも、笑顔で来賓の方を向いています。
良い感じに盛り上がっていますね。
「それでは、お時間までごゆるりとご歓談ください」
歓談タイムとなり、さっそく料理を食べる人や新郎新婦に突撃する人と様々です。
僕もちびっ子軍団の座っているテーブルに移動しました。
辺境伯様夫妻と先々代夫人は、一緒になって来賓に挨拶をしています。
個人的には、ニース侯爵が先々代夫人に余計なことを言わないか心配です。
「お兄ちゃん、お疲れさま。カッコよかったよ!」
「アレクお兄ちゃん、凄かったよ」
「「「カッコよかった!」」」
さっそくリズたちに司会を褒められたけど、僕としては無事に終わって一安心ってのが大きかった。
思ったよりも緊張していたのか、少し汗もかいていた。
ジュースを飲んで、ようやくひと息つけました。
暫くちびっ子軍団と料理を堪能していたら、ティナおばあさまが僕たちに声をかけた。
「そろそろ、新郎新婦に挨拶に行くわよ」
「「「はーい」」」
ある意味、こういう時を待っていたのかもしれない。
特に、ちびっ子軍団は元気よく立ち上がった。
もちろん、僕たちも後に続きます。
「「「おめでとうございます!」」」
「ふふ、ありがとうね」
「とっても立派なフラワーボーイとフラワーガールだったわ」
エマさんとオリビアさんも、頑張ったちびっ子軍団の頭をニコリとしながら撫でていました。
そして、僕とリズにも向き直りました。
「エマさん、オリビアさん、僕とリズのことをずっと見守ってくれてありがとうございます」
「ちっちゃな頃から、色々と面倒を見てくれたよね。本当にありがとう!」
僕とリズにとって、本当にお世話になったお姉さんです。
感謝してもしきれないです。
すると、今度はエマさんとオリビアさんが僕とリズを抱きしめてきました。
「「わっ」」
「こちらこそ、二人にはお礼を言わないとならないのよ。森の中でゴブリンに襲われた時、私たちを助けてくれたのだからね」
「そうだよ。二人が助けてくれたからこそ、今日を迎えられたのよ。私たちこそ、本当にありがとうね」
何だか、お礼の言い合いになっちゃったね。
それでも、エマさんとオリビアさんは笑顔で僕とリズを抱きしめていました。
僕とリズも、二人をギュッと抱きしめました。
「あー、ずるい! 僕もギュッとする!」
「私も抱きつくの!」
「よーし、どんとこい!」
「「「わー!」」」
エマさんの声に、ちびっ子軍団が反応しました。
何だか、みんなで抱きついてわちゃわちゃしていますね。
「おっ、何だ何だ?」
「もう小さい子が沢山集まっているわね」
「ふふふ、楽しそうですわね」
すると、お酒を手にしたエマさんとオリビアさんの同級生もやってきました。
これは、キースさんに飲ませるつもりなんですね。
すると、その前に立ちはだかったのは新婦の二人でした。
「駄目駄目、キースはお酒が弱いんだから」
「そうですわ。代わりに私たちが飲みますわよ」
「「「げっ」」」
同級生たちは予想外のことにビックリしているけど、実はエマさんとオリビアさんは滅茶苦茶お酒に強かった。
少々のお酒では、全く酔わないんだよね。
そして、更にちびっ子軍団の追撃が入りました。
「あー、無理矢理は良くないんだよ!」
「いっぱいのお酒は駄目なんだよ」
「「「だめー!」」」
「「「ううっ」」」
ちびっ子の駄目駄目攻撃に、流石の同級生も引かざるをえません。
エマさんとオリビアさんは、良いバリアができたとその後も双子ちゃんを抱っこしていたりしていました。
すると、エリちゃんたちも抱っこして欲しいと猛アピールしたので、同級生も含めて抱っこコーナーに早変わりしていました。
「あらあら、みんな楽しそうね」
「本当だのう。しかし、実の子を抱くのはいつになるのかね」
「ふふふ、案外直ぐかもしれませんよ」
ワイワイしている新郎新婦席を、イザベラ様と先々代夫人が微笑ましそうに見ていました。
こうして、とても賑やかな結婚披露宴が進んで行きました。
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