九百二十七話 新郎新婦お披露目パレード

 ちなみに、新しい夫婦のお披露目パレードなので、辺境伯様や先々代夫人は馬車には乗りません。

 でも、護衛の為にスラちゃんとプリンに加えて、エマさんとオリビアさんの従魔でもあるマジカルラットのクリームとクッキーも同乗します。

 サギー伯爵領兵も、領主の結婚パレードとあってかなり張り切っていました。

 もちろん町の人も沢山集まっていて、今か今かとワクワクしながら待っていました。

 僕たちも、馬車を見送る準備を整えました。

 特に、ミカエルたちもワクワクしながら待っていました。


「それでは、出発する」

「「「しゅっぱーつ!」」」

「「「わー!」」」


 先頭にいる兵の合図に答えるかのように、住民も大きな歓声を上げました。

 そして、ゆっくりと馬車は出発しました。


「すごーい、お花が沢山舞っていて雪みたいだよ!」

「凄いね、綺麗だね」


 僕たちが沢山集めた花びらを、集まった人が空高く投げていました。

 リズとエレノアだけでなく、特に女性陣もこの光景にうっとりしていました。

 この分だと、スラちゃんがちょうど良く舞うように風魔法を使っていますね。

 そして、新郎のキースさんも新婦のエマさんとオリビアさんも、住民に向けてにこやかに手を振っていました。

 スラちゃんとプリンだけでなく、クリームとクッキーもちょこちょこと触手と小さい手を振っています。

 この光景だけでも、三人の結婚が領民に祝福されていると一目で分かりました。


 パカパカパカ。


 そして、馬車は町中を進み僕たちからも小さくなっていきました。

 では、僕たちは一足先に屋敷に戻ります。

 この後は、屋敷の中で披露宴が行われます。

 みんな、とても良い笑顔で屋敷へ歩いています。


「あのね、花びらを沢山集めたんだよ!」

「僕も、沢山集めた!」

「あら、そうなのね。お姉ちゃんの為に、一生懸命頑張ったのね」

「「そーだよ!」」


 もうニコニコが止まらない双子ちゃんは、道中も仲良く手を繋ぎながら色々な人に声を掛けていました。

 ミカエルたちもフラワーボーイとフラワーガールを頑張ったと、主に新郎新婦の同級生と話をしていました。

 みんなでお話をしながら、無事に屋敷に到着しました。

 でも、みんなは未だ屋敷の中に入りません。

 馬車が戻ってくるのを、今かと待っています。


「あっ、見えたよ!」

「馬車がやって来たね」


 十分ほど待つと、賑やかな声とともに馬車が通りに姿を現しました。

 目の良いリズたちが直ぐに馬車を見つけたけど、この大歓声を聞けば誰でも分かりますね。

 笑顔でみんなに手を振る新郎新婦も、僕たちの存在に気がついたみたいです。

 ミカエルたちも、一生懸命に手を振っていますね。


「全体、止まれ!」


 そして、責任者の掛け声で馬車は止まり、新郎新婦が馬車から降りてきました。

 沿道に集まった人たちにも手を振っているけど、相変わらずスラちゃんとプリン、それにクリームとクッキーもちょこちょこと手を振っています。

 これで、パレードも無事に終了です。

 全員が、屋敷の中に入っていきます。

 ちなみに、新郎新婦はお色直しがあるので、衣装部屋に向かいました。


「スラちゃん、プリンちゃん、ご苦労さまね」

「一生懸命触手を振っていて、とても可愛かったよ」


 僕たちのところにやってきたスラちゃんとプリンを、リズとエレノアが褒めていました。

 二匹とも、仕事をやりきったと満足そうにしていました。

 ご褒美として、美味しいものを食べないとね。


「しかし、嫌味になるくらい絵になっていたな」

「二人とも美人だから、余計にウェディングドレスが映えたわね」

「町の人も大歓声で祝福していたし、これからも大丈夫だろうな」


 新郎新婦の同級生も、無事にパレードが終わってホッと胸を撫で下ろしていた。

 パレードの出来如何で、今後の領内運営に影響が出るという。

 酷い統治をしていると、沿道に全然人が集まらないので無理矢理人を動員するそうです。

 サギー伯爵領は安定的な領地運営をしているし、この辺りは全く問題ないですね。

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