八百七十話 今日の依頼終了です

 冒険者ギルド内にあるテーブルと椅子を掃除しているのはちびっ子軍団とルシアさんなんだけど、何故かルシアさんしか姿が見当たらない。

 ミカエルたちはどこに行ったのかなと思ったら、テーブルの下に小さなお尻が見えました。

 うん、さっぱり分からないので、ルシアさんに聞いてみましょう。


「ルシアさん、ミカエルたちは何をしているんですか?」

「テーブルと椅子は直ぐに拭き終わったけど、どうも傷んでいるのがあったみたい。それを探しているみたいだよ」


 そういえば、テーブルと椅子も長い間使っているって聞いていたような。

 鑑定を使えるマジカルラットと一緒に、壊れているところを見つけているようです。


 もぞもぞもぞ。


「全部終わったよ!」

「お疲れ様、じゃあおっちゃんに言ってくるよ」


 僕がルシアさんに話しかけたタイミングで、ミカエルたちがテーブルの下から出てきました。

 ちょっと服が汚れちゃったので、僕は全員を生活魔法で綺麗にします。


「じゃあ、全員座ってね。ジュースを用意するね」

「「「わーい」」」


 もうそろそろ昼食なので、プリンとかは出しません。

 でも、ミカエルたちは頑張ったので良い表情です。

 ちなみに、ミカエルたちは午前中でお役御免で、午後はみんなでお昼寝タイムです。

 と、ここでギルドマスターも厨房の様子を見に来ました。


「おー、こりゃ派手にやっているな。床材の張替えもしているのか」

「一部腐っちゃったところがあるので。もう、スラちゃんが全部張り替えましたけど」

「水回りは、どうしても傷みが出るからな。それに、スラちゃんはもう上級冒険者並みの腕前だ」


 僕が小さい時からスラちゃんは大活躍しているので、ギルドマスターもスラちゃんの力は良く分かっています。

 今も風魔法でスパスパと木材を切って、ジンさんたちが切った木材を床に張り付けています。

 寸分違わず木材を切るので、ピタリとハマっていきます。

 厨房内はこれで良いのだけど、心配なのは厨房機器を洗っているメンバーです。

 ギルドマスターとジュースを飲み終えたミカエルたちとともに、ギルドの裏手に向かいました。


「キュー!」

「はいはい、ここですね」

「よく、こんなところの汚れを見つけるわね」


 そこには、ポッキーに汚れの箇所を指摘されながらブラシで洗っているレイナさんたちの姿がありました。

 うーん、これまた状況が良く分からないので、監督をしているおばちゃんに聞いてみよう。


「ポッキーが魔法を使いながらどんどんと洗っちまうから、指導する側にまわってもらったのさ。とはいえ、当初の予定よりも相当早く進んでいるけど」

「キュッ」


 ポッキーは念動が使えるから、最初から複数のブラシで厨房機器を洗っていたっけ。

 あまりにもペースが早かったんだ。

 マジカルラットに指導されるレイナさんたちも、なんだかなぁーって感じだけど。


「おお、ポッキー凄いね!」

「「「すごーい!」」」

「キュー」


 当のポッキーは、ミカエルたちに褒められて頭をかきながら照れていますね。

 洗い終わった厨房機器は、カミラさんの水魔法で綺麗に洗い流してから生活魔法で更に綺麗にします。

 そして、ある程度洗い終わったところで、おじさんがこちらにやってきました。


「おお、やっているな。床材の張り替えが終わったから、継続して使うものを持ってきてくれ」

「じゃあ、僕が持っていきますね」

「「「戻るよー」」」


 僕は必要な分だけ厨房機器をアイテムボックスに詰め込んで、ミカエルたちとともに厨房内に戻ります。

 ギルドマスターは、おばちゃんに用事があるみたいでこのまま残るそうです。


「じゃあ、この辺に出してくれ」


 ドスッ。


 僕はおじさんに指示されたところに、大きな冷蔵魔導具をアイテムボックスから取り出しました。

 今回は、火を使う厨房機器が入れ替えなので、それ以外のものは出していきます。

 ちなみに、食器とかは既に生活魔法でピカピカにしています。


「取り敢えずこんなもんだな。午後一に業者が来て新しい厨房機器を持ってくるけど、奴らはマジックバッグを持っているから大丈夫だ」

「「「わーい!」」」

「ということは、レイナたち以外はこれで終了か?」

「あいつらも、もうそろそろ終えるだろう。まあ、ポッキーがスパルタ指導しているがな」


 ということで、久々に薬草採集と治療以外の冒険者の依頼は終了です。

 普段と違うことをやると、何だか楽しいですね。

 僕たちは、一足先に屋敷に帰って昼食を食べました。

 ちなみに、レイナさんたちはもう一時間ポッキーのスパルタ指導を受けていたそうです。

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