八百六十三話 会議の始まりで衝撃的な報告が
「リズ、いくら嬉しいからって先頭に立って騒いじゃ駄目だよ。ルカちゃんとエドちゃんも怒られちゃうんだからね」
「お兄ちゃん、ごめんなさい……」
昼食時に、僕はリズに勉強時の件の注意をします。
リズも流石に反省するのか、しゅんとしました。
やっぱりここは、お兄ちゃんの僕がしっかりと怒らないと駄目だよね。
「「ごめんなさい……」」
「二人も嬉しいのは分かるけど、今度からは気をつけようね」
「「うん……」」
ルカちゃんとエドちゃんも、王妃様にショボーンとしながら改めて謝っていました。
しっかりと反省もしたし、この件はこれで終わりです。
目の前にある昼食のオムライスが冷めちゃうから、温かいうちに食べましょう。
美味しいものを食べれば、直ぐに笑顔に戻ります。
「まあ、辺境伯家の双子には私たちの子どもも随分とお世話になったからね」
「学園でもルーカスとアイビーはお世話になっていたし、みんな嬉しいのは分かるわ」
王妃様もアリア様も、はしゃいでいる息子を見て仕方ないと思っていました。
とっても仲が良いお姉さんだし、少し歳の離れたお姉さんっているようでいないもんね。
そんなことを思いながら、あっという間に昼食を完食しました。
そして、王妃様とアリア様がこんなことを言ってきました。
「昼食後の会議には、私とアリアにティナ様も参加するわ。闇ギルドに関することですものね」
「まだ脅威は収まっていないし、意思統一を図る意味合いもあるのよ」
この後の会議は、結構な人数になりそうですね。
みんなで、いつもの会議室に向かいます。
すると、軍の施設に行っていたジンさんやスラちゃんだけでなく、レイナさんやカミラさんもいました。
学園が終わって、王城に帰ってきたルーカスお兄様もいますね。
更にはエマさんとオリビアさんの婚約の手続きで王城に来ていた辺境伯様、レイクランド辺境伯様とサーゲロイド辺境伯様も席に座っていました。
これだけの面々が揃っているなんて、本当に久々ですね。
そして開口一番、陛下がもの凄くビックリすることを言ってきた。
「皆のもの、忙しい中集まり大義である。闇ギルド関連の話をする前に、一つ残念なことを伝えないとならない。今朝、ドクターが獄死した。自殺の形跡はなく、病死の可能性が高い。既に、各国にも伝えてある」
この話を聞いて、会議室にいる全員が息を飲みました。
しかも、自殺でもないのが驚きです。
重要参考人だったので、健康状態も常にチェックしていて食事もきちんと食べていたそうです。
ここで、軍務卿がとあることを言ってきました。
「ドクターは、自身で薬の効果を試していたと他のものが証言しております。そのために、既に表面上は分からない何らかの体調の不安を抱えていた可能性は否定できません」
「余も、その可能性は高いと考えておる。いずれにせよ具体的な証言は取れずにいて、それでいて死刑が確定していたのだ。結果論で言えば問題はない」
ドクターが病死しなくても、いずれは近いうちに死刑になるのは決まっていた。
仮に自殺をしたとしても、だ。
陛下もそのことが分かっているから、大きな問題にはならないと考えていた。
そして、話はピエロのことになった。
「教皇国の教皇より、ピエロの聴取の状況が伝えられた。ピエロは、まさに道化師を演じていたみたいだ。普段は自分の鬱憤を表に出すことができない気弱な男性なのだが、ピエロの仮面を被ることで新たな人格を演じていた。ピエロの人格が罪を犯したのだから、私は無罪だと馬鹿なことを言っているそうだ」
今度は、陛下の報告を聞いて会議室にいる面々がドン引きしていました。
もちろん、僕もです。
つまり、ピエロは二重人格だったのかもしれないけど、他の人格もピエロの犯した罪を認識しているのだからアウトな気がします。
でも、ピエロの仮面が外れた素顔が普通のおじさんだったから、残虐なピエロの性格が仮面を付けないと出来なかったのは本当なのかもしれない。
悪人っぽい顔じゃなかったもんなあ。
「ピエロは自分はこうしたかったなどの自分の理想をずっと話していて、まともな聴取になっていないそうだ。ピエロの欲望が判明するには、もう少し時間がかかるだろう」
陛下も溜息をついているけど、ピエロがまともな聴取に応じるにはどうすれば良いのだろうか?
すると、この場にいる人たちの視線が一斉に二人に注がれた。
その二人の横にいるジンさんの表情が、一気に青ざめた。
「あの、まだ二人を出すのは早いですよ。最悪、ピエロが再起不能になるかもしれません!」
「私もそう思います。教皇国には、最終手段として伝えるのが宜しいかと」
ジンさんだけでなく、宰相もこの方法を使うのはまだ早いと陛下に進言していた。
僕もそう思うし、あまりの衝撃で本当にピエロが再起不能になるかもしれない。
また、衝撃のあまりピエロに別の人格が出るかもしれないよ。
「皆の懸念もよく分かった。教皇国には、最終手段として伝えよう」
「「陛下、少し酷いです!」」
レイナさんとカミラさんが陛下に苦言を呈していたけど、いずれにせよ破壊王を聴取に投入するのはもう少し先になりました。
僕的には、破壊王を投入する前にピエロは素直に自供した方がいいと思います。
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