八百三十九話 王都スラム街での炊き出し

 安息日の翌日、僕達は王都のスラム街にある教会に来ています。

 そして、ガチャガチャと沢山の調理道具を準備しています。

 今日はスラム街での炊き出しと無料治療を行います。


「今日もがんばるぞー!」

「「「おー!」」」

「くすくす、元気いっぱいですわね」


 ミカエルの掛け声にちびっ子軍団が元気な声を上げているのを、カレン様が微笑ましく見ています。

 今日の炊き出しは、聖女様主催としていて僕もジンさんもお仕事として来ています。

 もちろんあさイチで書類整理も終えています。


「ブッチー、みんなの護衛も宜しくね」

「ブルル!」


 スラム街アンドカレン様がいるので、今日は辺境伯領からポニさん達も呼んでいます。

 もちろん、近衛騎士や軍もいて警備はバッチリです。

 僕とジンさんは、さっそく炊き出しの仕込みをします。

 ルーカスお兄様も、僕の側に来て準備しています。


 トントントン。


「こういうお仕事も、僕は好きですよ」

「だな。料理は嫌いじゃないから、俺も問題ないぞ」

「野外で活動するのも良いですね」


 男性陣とスラちゃんが料理好きってのもあれだけど、女性陣に破壊王がいるから仕方ないです。

 三人プラス何人かで仕込みをしていると、こちらに近づいてくる破壊王のおふたりが。


「ジン、暇だから手伝うよ」

「今日は何だか上手くできそうだよ」

「だー、お前らは料理を手伝うな! 炊き出しで大惨事を起こすつもりか! ほら、お仕事が始まったからそっちを手伝ってこい」

「「しょぼーん」」

「あはは……」


 料理の破壊王レイナさんとカミラさんは、ジンさんによって速攻でスラム街の人が並んでいる列整理に回されました。

 いつものやり取りを見てルーカスお兄様がから笑いをしているけど、僕としてもあのお二方が料理をするのは危険だと思います。

 そして、さっそくカレン様の治療が始まったけど、列に並んでいる人や周囲にいる人たちをアイビー様やポニさん達が警戒しています。


「キュー!」

「私にも分かりましたわ。アマリリス、縛りなさい」


 シュッ!


「ガッ、これは何だ?」


 ポッキー達も加わって、不審者をどんどんと縛り上げていきます。

 実は、今日の目的の一つに不審者を多く捕まえる事もあります。

 治安向上を兼ねて、スラム街に潜んでいる闇ギルド構成員の摘発も狙っています。

 様子を見に来るのがかなりの確率でいるので、一網打尽にします。


 シュイーン、ぴかー。


「ミカエルちゃんは、本当に治療が上手になりましたわね。ブリットも、上手よ」

「「ほんとー!」」


 ミカエルとブリットは、大好きなカレン様に褒められてとても嬉しそうにしています。

 カレン様もミカエルとブリットは小さい頃から見ているから、成長しているのが嬉しいんですね。


「カレンちゃん、ルカは?」

「エドはどうかな?」

「お二人ともとても上手ですよ。優秀な治癒師になれますわ」

「「えへへー」」


 ルカちゃんとエドちゃんも、カレン様に褒められてご満悦ですね。

 リズとエレノアもどんどんと治療していくし、治療の腕も良いので並んでいる人も良い笑顔ですね。


「はいどうぞ!」

「沢山あるよー」


 炊き出しもできたので、ルーシーお姉様を筆頭にレイカちゃんとかも手伝ってくれます。

 もちろん、破壊王は手伝っていない料理なのでご安心下さい。

 炊き出しにも沢山の人が並んでいるけど、一番活躍しているのはこの人たちでした。


「全員、悪人」

「アマリリス、纏めて縛りなさい!」


 シュッ。


「くそ、離しやがれ!」

「何故分かった?」


 イヨが見つけた悪人を、アイビー様がアマリリスに指示して拘束していきます。

 実は列に並んでいる悪人はポニさん達が捕まえてしまったので、周辺の隠れ家を見つけてどんどんと犯罪者を捕まえていました。

 途中からレイナさんとカミラさんも加わって、何故か炊き出しの手伝いをできなかった鬱憤を犯罪者にぶつけていました。

 こうしてスラム街での炊き出しは無事に終了し、ついでに沢山の犯罪者を捕まえました。

 因みにこの炊き出しは当分続く予定で、王都の各所で行う予定です。

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