七百九十九話 今日は何も成果がなかったよ
平日は、いつも通りに宰相執務室でお仕事をします。
この日は、リズ達も張り切って準備していました。
「じゃあ、行ってくるね!」
「気をつけてね。何かあったら、直ぐに連絡するんだよ」
リズ達は、元々予定していた各部署の確認に向かいました。
昨年もやっていたし、その際に汚職に手を染めた殆どの職員を捕まえている。
今年は、何事もなく終われば良いなと思っています。
「アレク君は、相変わらずリズちゃんのお兄ちゃんでお母さんじゃな」
「リズは、とにかく手のかかる妹ですから。未だに一緒に寝ていますし、たまにお風呂にも乱入してくるんですよ」
「ははは、リズちゃんはアレク君の事が大好きだな」
久々に宰相執務室に顔を出したニース侯爵が、僕とリズの関係を聞いてニコニコとしていました。
ニース侯爵に限らず宰相も僕とリズを小さい頃から知っているから、まるで孫の成長を見ているみたいなんだろう。
ニース侯爵の孫娘と宰相の娘は、お転婆に育っちゃったもんなあ。
そんな事を思いながら、僕は宰相の机の上に確認を終えた書類を置きます。
どーん。
「宰相、チェック宜しくお願いします」
「ほほほ、アレク君は相変わらず真面目じゃのう」
「真面目なので、全く休む暇がないですよ……」
面白い様に笑うニース侯爵に、ガックリしている宰相が対照的でした。
ともあれ、どんどんと書類を整理していきます。
そして、リズ達が下の階に行って一時間後、休憩をしに宰相執務室に戻っていました。
「あーあ、何もなかったからつまんなかった!」
「お疲れ様、何もないのが良い事なんだよ。内部で自浄作用が働いている証拠だよ」
リズとしては華麗に悪を捕まえたいのだろうが、王城内にそんなに悪がいては困ります。
リズはかなり不満そうにお菓子を頬張るっているけど、平和なのが何よりの証拠です。
こうしてリズ達特別調査チームは活動を再開したけど、この日は何も成果を上げられませんでした。
なので、終始リズは不機嫌でした。
「はあ、今日は何も見つからなかったよ……」
「今日はそういう日だって、明日また頑張れば良いだろうよ」
「うん……」
夕食時に、リズは何も出来なかったとしょぼーんとしていました。
そんなリズの事を、みんなが苦笑しながらなだめていました。
「明日は、ミカエルも手伝うよ!」
「ブリットも手伝う!」
「あのね、二人はお勉強をするために王城に行くんですが。遊んじゃうと、特別コースになっちゃうよ」
「「えー!」」
ミカエルとブリットが不満そうな声をあげているけど、少なくともリズ達を手伝うのは勉強が終わってからです。
明日はルカちゃんエドちゃんに加えてレイカちゃん達も一緒に王城で勉強するし、午前中はどう考えても無理でしょう。
因みに、不機嫌だったリズは美味しい夕食を食べたらコロリと機嫌が良くなりました。
やっぱり、美味しい食事にかなうものはないですね。
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