七百八十六話 男爵の三家から数々の証拠が
何とか王都の五歳の祝いが終わり、翌日から通常通りに仕事を始めます。
とはいえ、五歳の祝いの最中に僕を突き飛ばした男爵の三家の扱いも対応しないといけません。
「でも、男爵家を調査をするのがジンさん達とティナおばあさまなんですよね。カーセント公爵とグロスター侯爵のおじいさまもやる気満々ですし」
「アレク君が突き飛ばされたんだ、こればかりは仕方ないだろう。というか、近衛騎士が男爵を止めなければ、怒った者で暴動が起こるところだったぞ」
書類を整理しながら宰相と話をしているけど、僕が男爵に突き飛ばされた時に王家の方々からとんでもない殺気が起きていたもんなあ。
しかもミカエルのところにいたリズたちからも男爵に向けて殺気が飛んでいたし、今回はジェリルさんやランカーさんたち近衛騎士のファインプレーでしょう。
元々怪しいと言われていた男爵家に堂々と捜査出来る罪状が出たので、ジンさん達も意気込んで男爵家に乗り込んだそうです。
「僕としては、今年の行事がほぼ終わったのでホッとしています。来年はルーシーお姉様の入園式とかありますけど、そこまで忙しくはない予定です」
「闇組織関連で動きが無い限り、急ぎはない予定だ。とにかく、平穏で済めば良いですな」
宰相も少しリラックスしながら仕事をしているけど、年末も近いというので執務室内の空気も少し緩んでいます。
まあシーラさんもいるし、気を向いてミスする事はないでしょうね。
「あっ、カミラさんからの連絡です。えーっと、例の男爵家は収入を誤魔化して税を不当に納めていたそうです。既に軍と財務の役人を呼んで、細かい調査に入っているそうです」
「いつから税を誤魔化していたかによるが、これで拘束した男爵は強制交代間違いないな。芋づる式に、家臣も捕まっていくだろう。多額の罰金も逃れられないだろう」
何となく予想できた結果に、僕と宰相は苦情しながら顔を見合わせました。
自身の面子を保つ為に多額のお金を使っていた可能性が高いし、贅沢をして当たり前と思っていたんだろう。
念の為に僕は通信用魔導具をアイテムボックスから取り出して、陛下と閣僚に男爵家の現状を報告しました。
「いやあ、これが男爵家かってくらいの豪華な調度品が飾られていたな。古い物もあったが、明らかに最近購入した物もあったぞ」
「異様なレベルで、正妻と側室の差をつけていたわ。正妻は、宝石を沢山身につけてどぎつい化粧をしていたわね」
「使用人の待遇も、あまりよくなかったわ。給与がしっかり払われているか、ここも調べないと駄目ね」
昼食時にジンさん達が男爵家の領地から帰ってきたけど、屋敷に入った瞬間に色々なところがヤバいと感じたそうです。
とはいえ、既に関係する人は捕縛して聴取を進めているそうです。
ここで、リズ達が手をあげました。
「ねーねー、リズ達がお宝探しする?」
「うーん、そうだな。もう主要人物は捕まえたし、屋敷も危なくないから更に調べても大丈夫だろう」
「なら、隠されているものは何でも見つけちゃうよ!」
ジンさんの許可も得たので、リズ達に加えてマジカルラット部隊も投入する事になりました。
そしてリズ達が数日間徹底的に宝探しをした結果、隠し財産や怪しい手紙などが根こそぎ発見されました。
これにより、男爵の三家は言い逃れできないレベルの証拠を集められました。
五歳の祝いで大人しくしていればバレなかったものなのに、結局悪が捕まる時は呆気ないものですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます