七百七十一話 ブランデー子爵家への処分通達
そして、ムーアさんの謁見の日が決まりました。
日程を伝えて僕が迎えに行こうかと思ったら、一日あれば着くので馬車で王都まで来るそうです。
「新しい領主として自覚する為に、敢えて馬車で王都に来るそうです」
「とても良い事だ。苦労を知る事も、領主として大切な経験だ」
謁見前、僕たちは王族の控室で話をしています。
僕の話を、陛下だけでなく他の人も頷きながら聞いていました。
ムーアさんがこれからブランデー子爵家を背負って立つ覚悟の表れだと、誰もが思っていました。
因みに謁見は午後からなので、ルーカスお兄様も謁見に参加します。
リズ達は謁見に参加しないので、執務室でお留守番です。
処分発表もあるので、集まれる貴族は謁見に参加します。
「あの、俺も閣僚枠で謁見に参加しないといけないのですか?」
「当たり前だ。副宰相なのだから、宰相の隣にいないとならないぞ」
ジンさんは、普段の謁見用の服よりも豪華な貴族服を着ています。
と言っても、僕もいつもの服よりも豪華で髪もきっちりとセットしています。
やっぱり、役職がつくとそれなりに偉い格好をしないと駄目なんだ。
「皆様、お時間になります」
「じゃあ、行くか。何もなければ直ぐに終わるぞ」
係の人が時間だと告げると、陛下が率先して立ち上がった。
処分案は既に決まっているし、難しい事はないでしょう。
僕たちも、係の人の後をついていきながら謁見の間に入っていきます。
「それでは、ブランデー子爵家への処分を発表する」
陛下の挨拶の後、すぐさま内務卿が処分を発表した。
処分内容は会議の時から変更なく、ブランデー子爵家は男爵家に降格し、ムーアさんが爵位継承。
主犯の執事と家臣は死刑で、当主以下はそれぞれの刑期に合わせた強制労働刑です。
前ブランデー子爵は、一番厳しい鉱山に送られるという。
刑期の発表より、この鉱山送りが一番どよめいていた。
「権威主義をかざして住民を締め付けるばかりか、国の命令にすら反抗するものがいる。今回も、王国創設以来の貴族という理由で聴取を拒否していた。王国創設以来の貴族だろうが、犯罪を犯せば犯罪者に他ならない。爵位とは天から与えられたものではないと、我が国の成り立ちを知れば直ぐに理解できるはずだ。何回も言っているが、民がいるからこそ我々の暮らしが成り立っている。その事を常に頭に入れて、各々が与えられた仕事を邁進するように」
「「「はっ」」」
そして、陛下の締めの言葉で謁見は終了です。
この陛下の思いをどれだけの人が受け止めてくれるかと思いながら、僕は並んでいる貴族を見つめていました。
僕たちは謁見の間から退場すると、軍と内務の関係者を集めて会議室に直行しました。
「内務卿、怪しいと思われる貴族家の参加状況はどうだ?」
「全家が、当主が参加せずに代理人が参加しています。まあ、同じ様な勢力の処分ですから予想通りです」
王国創立以来の歴史がある貴族家が今回の処分をどう捉えるか、確認をとっていました。
王都近くに領地を構える貴族家もいるのに、全員が家臣を出して終わりでした。
ということは、王国の処分を無視している可能性が高くなりました。
「諜報活動を継続すると共に、五歳の祝いに参加する貴族家の状況を見よう。確か、男爵家の三家が参加するはずだ」
「では、後でリストを確認します。流石にリズやサンディなら、相手も喧嘩は売らないと思います」
「とはいえ、何をするか分からない。警備は厳重にしよう」
ティナおばあさまの孫のリズやロンカーク伯爵家当主のサンディに喧嘩を売るとなると、それこそ大変な事になる。
メアリのカーセント公爵家は王国創立以来の名家だし、ここは助っ人をお願いしよう。
諜報活動を強化しつつ、五歳の祝いも少し予定変更しないとならない。
この後、みんなで話し合いをしないと。
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