七百七十話 みんなの服を作る事に
ムーアさんの叙爵式を調整しつつ、僕達は引き続き五歳の祝いに向けて準備を進めます。
といっても、今日は書類整理とかではありません。
「じゃあ、みんなの採寸を行うわよ」
「「「「はーい」」」」
今日は、僕達の体が大きくなって儀礼用の服が小さくなったという理由で、服やドレスを新しく作る事になった。
春に服を作った気がするけど、今日はそれとは別の服だそうです。
おばあさまの部屋ではなく、ジンさんも行った衣裳部屋で採寸を行ないます。
「あれ? お兄ちゃんは別の部屋なの?」
「そうだよ。アレクお兄ちゃんはこっちなの」
「リズ、エレノア、採寸とはいえそろそろこういう時は別々の部屋で行なわないと」
「「えー!」」
未だに僕と一緒にいたいとリズとエレノアがぶーぶー言っているけど、今後の事を思って流石に言い聞かせないと。
物分かりの良いサンディ、イヨ、メアリは、苦笑しながら僕と別の部屋に入っていた。
でも、僕の入った部屋で待ち構えていた人が。
「て、ティナおばあさま?」
「さあ、アレク君採寸をするわよ。服の色もどんな物にするか、予め決めておかないとね」
服飾担当の侍従と共に、ティナおばあさまがニコニコとして部屋に控えていた。
えっと、これはもしかして採寸だけで終わらなくて着せ替え人形になるパターン?
「リズちゃん達の方にはビクトリアとアリアがいるけど、折角だからおばあちゃんがアレク君に似合う服を決めてあげるわ」
もうこれは逃げられないと思い、僕は未だにニコニコしているティナおばあさまの前でがっくりとしてしまいました。
そして採寸は直ぐに終わったのに、服の色を合わせるのにまさかの二時間かかってしまいました。
「はふう……」
「あのアレク君がぐったりとしているとは。相当大変だったんだな」
服の採寸が終わって執務室に戻ると、僕は思わず机にぐったりとしてしまった。
ティナおばあさまは終始ニコニコしてご機嫌だったけど、僕は着せ替え人形になっていたから物凄く疲れてしまった。
因みに、意外とリズ達はあっさりと採寸と服の色合わせが終わってしまったので、僕がこんなに時間かかっているとは思わなかったという。
「へふう……」
「それでもアレク殿下が事前に書類処理を進めてくれたお陰で、宰相の仕事量は変わりないわね」
「はあ、そうなんだよね……」
僕が復活するまでの間、宰相とシーラさんが大量の書類を前にいつものやり取りをしていた。
そしてリズ達は、ヘロヘロな僕を無視して普通にお仕事をしていた。
「いやあ、とっても良い服が出来そうですわ」
「本当ですわね。とても可愛らしいデザインになりそうですわ」
「アレク君も、きりりとしたカッコいい服になりますわよ」
昼食時、王妃様、アリア様、ティナおばあさまがとっても楽しげに話をしていた。
何と今日の午前中は、僕たちの採寸とかをやる為に全ての政務を片付けたという。
やる気がものすごい事になっているよ。
「アレク、俺もすごい衣装になるんだ。もう、あの三人は止められないぞ」
ジンさんが、道連れを見つけたとニヤニヤしながら僕の肩をポンポンと叩いていた。
ある意味とっても不安になりながら、僕はもう一度三人を見ていた。
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