七百六十二話 五歳の祝いに向けて準備開始

 ブランデー子爵への取り調べが進む中、僕は次の仕事に移ります。

 ここからは、僕達から軍や内務などが担当になるのもあります。


「五歳の祝いかあ。ミカエルも五歳になったんだね」

「アレク君が保護した時は、まだ小さな赤ちゃんだったからね。時が経つのは早いものだよ」


 王都で行なわれる貴族の子弟の五歳の祝いが、次の僕の大きな仕事になります。

 今年はミカエルとブリットが五歳になるし、僕も感慨深いものがあります。


「辺境伯領で行なわれる五歳の祝いは辺境伯様にお任せですけど、王都で行なわれる五歳の祝いはどの部署がメインなんですか?」

「貴族に関わる事だから、内務がメインになる。今度打ち合わせを行なうから、そこで色々話を聞く事になるだろう」


 まずはその打ち合わせまで待つ事になるけど、既にこの人たちがやる気満々で協力すると言っていた。


「ミカちゃんのお祝いだったら、リズは全力で頑張っちゃうよ!」

「エレノアも、頑張ってお祝いするの!」


 そうです、リズ達も物凄くやる気満々でミカエルの五歳の祝いを手伝うと宣言しています。

 もちろんサンディやイヨに加えて、メアリもやる気満々で握りこぶしを作っていました。

 更に、この二人も元気よく手を上げていました。


「ルカもおいわいするよ!」

「エドもがんばる!」


 お勉強を終えて執務室にやってきたルカちゃんとエドちゃんも、ミカエルとブリットのお祝いをしてあげたいみたいです。

 でも、ルカちゃんとエドちゃんには、既に決まっている事があります。


「ルカちゃんとエドちゃんは、陛下とかと一緒に「おめでとう」という役割があるんだよ。しかも、ミカエルとブリット以外の人にも「おめでとう」って言うんだよ」

「「おおー、がんばる!」」


 実際にはエレノアも来賓者の挨拶の対応があるけど、ルカちゃんとエドちゃんも来賓者の挨拶対応があるのは間違いない。

 自分の役割があると聞いて、ルカちゃんとエドちゃんも大喜びです。

 流石にエリちゃんは参加できるか分からないけど、もしかしたらルカちゃんとエドちゃんの時と同じく顔見せはあるかもしれない。

 まあ、飛天虎という最強のボディーガードがいるから大丈夫ですね。


「あうあうあう」

「グルル」


 因みに、エリちゃんも何故かベビーカーに乗って執務室にいて、飛天虎の子どもも一緒に寄り添っています。

 というのも、王妃様もアリア様も来客の対応をしている為です。

 飛天虎の子どもも保護した時から比べてすっかりからだが大きくなり、もはや大型犬くらいの大きさがあります。

 とはいえ体が大きくなってもまだまだ子どもなので、色々と気を付けないといけません。

 飛天虎の子どもはよくいたずらをして、とっても真面目なルーカスお兄様のマジカルラットに怒られています。

 ルカちゃんとエドちゃんのマジカルラットも真面目なタイプなので、二人のお守りを良くしています。


「今年は、とっても賑やかな五歳の祝いになりそうですね」

「そうだのう。こうして平和にお祝いができるのは、とても良い事だ」


 ブランデー子爵の事件があったから、余計にこうして純粋に楽しみができるのは良い事ですね。

 という事で、僕達はお仕事を頑張りましょう。


 どーん。


 僕は、宰相の机の上に書類整理が終わったものを乗せました。

 みんなとお喋りしていても、ちゃんと手は動かしているよ。


「うん、もう私じゃなくてアレク君が宰相をした方が良いんじゃない?」

「こらこら、勝手な事を言わないの。少なくとも、アレク君が学園を卒業するまで待ちな」


 現実逃避を始めた宰相の事を、シーラさんがツッコんでいました。

 というか、僕が学園を卒業してもまだまだ若いから宰相なんてやりませんよ。


「はっ? アレク君、何を言っているんだ? このままいけば、学園卒業後にアレク君が宰相になるのは既定路線だぞ。仕事はできるし、顔も広い。ルーカス殿下を支える意味でも、アレク君が宰相になる可能性は高いだろう」

「えー!」

「「「うんうん」」」


 宰相の言葉に、職員やシーラさんにローリーさんだけでなくリズ達も頷いていた。

 あの、そこまで話が進んでいるなんて全く知らないのですけど。

 僕は、思わずがっくりとしちゃいました。

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